デザイン学研究
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天然木素地漆椀の洗浄方法に関する口承の科学性 : 洗剤、食器洗い機、食器乾燥機に対する漆椀の耐久性に関する実験
田中 みなみ宮崎 紀郎町田 俊一
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1994 年 40 巻 5 号 p. 9-18

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抄録

戦後、科学技術の諸成果が家庭生活に導入されることにより、食器の取り扱い方法も大きく変容した。本稿は、天然木素地漆椀を使用した後の洗浄および乾燥に関し、実際の場面を考慮した実験を行い、社会的に言い伝えられている漆椀の取り扱い方法の妥当性を検討したものである。なお、天然木素地漆椀の取り扱い方法に関する口承とその問題点の抽出は,実践に先立って実施した生活者ならびに生産者へのアンケートに基づいている。実験によって、言い伝えられている洗浄および乾燥の方法は、天然木素地漆椀の取り扱い方として最も適していることが判明した。また、その取り扱い方法は、「生きて呼吸している」と表現される漆器のいわぱ科学的メカニズムを経験的に熟知した上に成立していることが確認された。

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© 1994 日本デザイン学会
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