デザイン学研究
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在り方のデザイン : デジタル時代の工業デザインに関する研究(2)
斎藤 共永
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2001 年 48 巻 4 号 p. 91-100

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抄録

デジタルがキーとなる情報化時代のデザインとはどのようなものであるべきかについての研究である。今日のデザイン方法の底流をなす、システマティックなデザイン方法は、情報を細分化し、再構成することに重点を置いた、アナリシスを中心とした方法である。ところがデジタル機器においては、「何を」デザインするかが問題となり、シンセシスの過程がより重要となる。そのため、新たな方法の要件として次のようなことが言える。1)人間-人工物の系を一体的・相互的な行為的関わりとして、その全体を再構成する。2)物理的環境と同時に、社会的・文化的環境を含めた相互関連の考察と、総体的把握をする。3)例えば、情報機器のデザインでは、その道具的目的だけではなく、コミュニケーションの在り方といった精神的目的へと考察範囲を広げる。4)デザイン主体の価値明示的な「視点のまとめあげ」が必要となる。5)総合すると、それはものの存在を定義づける「在り方のデザイン」と呼べる。

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© 2001 日本デザイン学会
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