デザイン学研究
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情報理論によるボーディング・ルートの複雑さの定量化
-駅空間におけるボーディング・ルートの複雑さに関する研究(1)
馬 敏元釜池 光夫長尾 徹
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2002 年 48 巻 5 号 p. 5_37-5_46

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抄録

 近年、駅空間は多機能化に伴い、巨大化し、その案内やサービス情報に満ちあふれ、複雑となった。駅空間を利用する場合、入口から乗車するまでに選択したルート(ボーディング・ルートと呼ぶ)により、その複雑さに違いが生じる。現在、その複雑さについては利用者の印象で判断するしかなく、客観的な指標が無い。駅空間をデザインする場合の基準となりうる複雑さの定量的な指標が必要であると思われる。本研究の目的は駅空間におけるボーディング・ルートの複雑さに着目し、情報理論に基づき、定量化を行うことである。
 はじめに情報理論による空間の複雑さを定量的に示す尺度-「エントロピー」を用い、ボーディング・ルートの評価を試みた。その結果、単純なエントロピーのみでは、空間の方向選択による複雑さを充分に説明できず、利用の実感と一致せず不備があることが分かった。そこで、ボーディング・ルートにおける方向転換の要素を加重情報量として取り入れることで、ボーディング・ルートの複雑さを評価することが可能と考えられる。

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© 2002 日本デザイン学会
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