デザイン学研究
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事業領域との関連性からみたデジタルカメラの製品コンセプトの成り立ち : デジタル機器の進化過程に関する研究(1)
斎藤 共永石田 貞良
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2002 年 49 巻 1 号 p. 47-54

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抄録

本研究は、デジタルカメラの製品コンセプトの成り立ちを、各社の事業領域との関連性において、明らかにするものである。主要4社の製品について調べた結果、デジタルカメラを性格づける要因として、カメラとしての基本機能・撮る機能・創る機能・繋ぐ機能、の4つに分類できた。これら各機能群に対する各社の比重の置き方について調べた結果、4社の製品開発の方向性の違いが分かった。その違いと、各社の事業ドメインのとの関連性を調べた結果、以下のことが分かった。1.フジフィルムはカメラのネットワークサービス機能を強化している。2.キャノンは光学技術の蓄積にたって、フィルムカメラの代替としてのデジタルカメラをめざしている。3.ソニーはAVやソフトとのシナジー効果をねらったエンタテインメント機器としてのカメラをめざしている。4.オリンパスは光学機器としてのカメラに徹している。これらをとおして、デジタル機器の製品のコンセプトが多様な方向へ変化する様相が明らかになった。

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© 2002 日本デザイン学会
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