デザイン学研究
Online ISSN : 2186-5221
Print ISSN : 0910-8173
ISSN-L : 0910-8173
イギリスにおける印刷ビラと見出し書体 : 1477年から1871年までの変遷
石川 重遠
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 49 巻 3 号 p. 41-50

詳細
抄録

本稿では、イギリスの印刷ビラと見出し書体について15世紀後半から19世紀後半までの変遷を考察した。その結果、以下の結論が得られた。1)産業革命以前、印刷ビラの大半は公告ビラであり、それらの見出し書体には、主にオールド・スタイル・ローマン体が用いられていた。2)産業革命期には、広告用印刷ビラの需要が増大した。19世紀初頭に、大型で超特太、モダンで目立つ見出し専用書体が創出された。これらの書体は、好評を博し、イギリスは、見出し活字書体の分野で世界をリードすることになった。3)初期のビラ用見出し書体は、タイプフェイス・デザイナー達に大きな影響を与え、彼等は、新たな見出し書体を多数デザインした。その結果、イギリスでは、独自のタイポグラフィの世界が発展した。そして19世紀中期にイギリスの印刷ビラは、最盛期を迎えることとなった。

著者関連情報
© 2002 日本デザイン学会
前の記事 次の記事
feedback
Top