現在,ユーザの安楽姿勢確保を目的とした鉄道車両用シート機構の設計が数多く行われている.しかしながら,それらのシート機構に関して,安楽姿勢確保に対する設計上の優先度は明確化されていないのが現状である.また,鉄道車両は公共物であるため,ユーザの個人差が大きく,従来の平均的な場を想定した設計では評価が低くなる問題が見うけられる. そこで,本研究では,ロバスト性を踏まえ,安楽姿勢確保に対して有効なシート機構を選定し,さらにそのシート機構の最適化を行うことを目的とする.まず,ファジィAHPを用いてシート機構の安楽姿勢確保に対する優先度解析を行った.これにより,中折れ機構とシートスウィング機構が高い優先度を示し,有効なシート機構として選定された.次に,選定されたシート機構に対し,過去に提案された多様場対応型ロバスト設計方法を用いて最適化を行った.その結果,中折れ機構の搭載によりシートスウィング機構に必要なクッションアングルが増大することを確認し,多様場に対してロバストな最適解を求めた.
抄録全体を表示