デザイン学研究
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形態多様性を生起させる生物の発生特性を応用した形状生成方法
松岡 由幸藤井 健史
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2002 年 49 巻 3 号 p. 93-102

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抄録

筆者らは,過去の研究において,多様な形状を生成する方法を提案した.その際,自然界において多様性を有する生物の形態形成に着目し,形態多様性を生起させると考えられる誘導および頂部支配をセルラ・オートマトンにおける状態遷移関数への入力ベクトルに応用した.本報においては,過去に提案した形状生成方法の有効性についての検証を行った. まず,ISMを用いて,形態多様性を生起させる生物の発生特性を特定した結果,誘導および頂部支配が形態多様性を生起させる発生特性であることが確認された.つぎに,状態遷移関数への入力にランダムなベクトルを用いて形状生成方法を実行し,誘導および頂部支配の各々の有無による生成形状の多様性と形状生成の効率性との関係について比較を行った.その結果,誘導と頂部支配を組み合わせることにより,ランダムなベクトルを用いた場合と比較して,効率性を保持しながら高い多様性を有する形状が生成されることが示された.以上より,誘導および頂部支配を応用した本方法の有効性が確認できた.

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© 2002 日本デザイン学会
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