2006 年 53 巻 1 号 p. 51-58
韓国におけるデザイン振興は、国の近代化政策と相まって、近代化の第一目標であった輸出振興の一環として始められた。世界に向けてより良質かつ競争力のある輸出製品の生産をめざし、商品の包装デザインに始まり、その後のOEM商品のデザイン期から独自のデザイン開発にいたるまで、国の産業振興に大きな影響を与えてきた。このような産業振興のためのデザイン開発に関する考え方は、今日の地域振興にも影響を与えている。従来の中央中心の地域政策からの脱皮が図られ、地域が自立・自律できるための新しい力を地域に与えていくことが求められている。その中心にはデザインが据えられ、それを支えていく主体として「地域デザイン革新センター」が位置づけられている。総じて、「地域デザイン革新センター」は、地場産業の振興ならびに地域全体の振興の中心的な役割を担い、その手段として「デザイン的手法」を基盤とし、地域と住民、産業や大学などを連携する地域ネットワークの中心的な役割と活動が期待される。