デザイン学研究
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デザイン思考における概念空間の変形の観察
永井 由佳里田浦 俊春森田 純哉竹内 雄大
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2008 年 54 巻 5 号 p. 79-86

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抄録

新しい概念の創造はデザインの基本的プロセスであるが,これまで概念生成の基本メカニズムは解明されていなかった.その理由は概念生成の現象が直接観察できないことに拠る.本研究では,概念生成において概念空間の変形の状態を定量的に観察する方法を構築し,その方法を用いた実験を行うことでどのように概念空間が変形しているか観察することを目的とする.方法として,デザイン実験(概念合成)の前後に調査したアンケート結果をもとに,概念空間の変形を定量的な多次元空間に変換し,概念間の距離がどのように変化するか算出する.本論は,概念空間の変化が定量的に観察でき,概念空間が概念合成の前後で変形するとき合成される2つの概念の周辺は互いに近づく方向に変形することを仮説とする.仮説を検証するために実験を行った.結果,統制群よりも,デザイン実験群の方が変化量は大きかった.これは,概念空間の変形を定量的に観察できることを意味する.さらに,概念合成における思考の中心となると思われる概念間の距離が近づく可能性が示された.

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© 2008 日本デザイン学会
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