デザイン学研究
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多空間デザインモデルに基づく「複雑さ」研究の指針 : マクロ形状情報「複雑さ」とデザイン(1)
氏家 良樹松岡 由幸
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2008 年 54 巻 5 号 p. 87-96

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抄録
現在の工業製品のスタイリングに活用されている曲線形状のデザインにおいては,形状全体の特徴を巨視的に認知するヒトの特性から,形状要素の組合せによって発現するマクロ形状情帳を把握し,それを適切に操作することが重要である.しかし,CADを用いた現行の曲線デザインにおいては,微視的な形状特徴を定量的に表現する情報の提示が主流であり,マクロ形状情報の把握と操作はデザイナの経験や直観に基づいて行われている.このような背景より,筆者らは,曲線デザインにおいて重要な指標となるマクロ形状情報「複雑さ」を対象として,マクロ形状情報の定量化法構築,定量化されたマクロ形状情報を操作可能な曲線形状生成法の構築,の2点を目的とした研究を進めてきた.本報では,まず,多空間デザインモデルの観点に基づきマクロ形状情報研究の課題をまとめ,それと対比するかたちでマクロ形状情報研究の指針を示す.つぎに,マクロ形状情報「複雑さ」を対象とした研究を進めるうえで重要となる関連研究の知見を多空間デザインモデルの観点からまとめ,「複雑さ」研究の指針について述べる.
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© 2008 日本デザイン学会
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