デザイン学研究
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成田山新勝寺の祭礼における伝統色彩文化 : 釈尊降誕会・祇園会・盂蘭盆会・彼岸会の調査を通して
早川 礎子宮崎 清
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2009 年 56 巻 1 号 p. 21-30

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抄録

平安時代の伝統色彩文化を継承する成田山新勝寺は、成田不動の名で知られている密教寺院である。本稿は、成田山新勝寺における祭礼の現地調査を通して、伝統色彩文化にみられる階層機能と陰陽五行説の影響を受けた方位に関する象徴性を解析したものである。得られた結果は次の通りである。(1)法会における僧侶は、その僧階に従い、白衣の上に、黒・緋・紫・萌黄・浅黄・黄・黒または鼠色(僧階未得者)の袍服ないしは襲を着用する。緋色の袍は、大僧正のみが着用する。祖先供養等では、大僧正は黒い袍服に、木襴色の加法衣を身につける。(2)僧侶が着用する法衣の色ならびに立位には、陰陽五行説に基づく方位との関連がみられ、北と東が崇高な方位として位置づけられている。僧侶の参進は、南から北への方向性がみられる。(3)陰陽五行説の影響を受けた四神相応の思想に基づき、五色が仏具の色として用いられ、方位を守護している。

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© 2009 日本デザイン学会
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