デザイン学研究
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超音波振動による木材表面加工法開発のための基礎研究
宮下 健児阿部 眞理渡辺 裕二
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2010 年 57 巻 1 号 p. 9-16

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抄録

伐採放置林の増加により,その利用促進が求められている国産針葉樹に対し,超音波振動を用いて表面硬化およびエンボスや表面炭化等の表面加飾を施し,用途開発を行う.その加工条件ごとに有効性を明らかにし,加工のための基礎的なデータを構築することを目的とする.結果,金属板上にのせた針葉樹材に超音波振動を施すと,表面硬化が起きていることが確認できた.特に銅板を用いた加工が有効であり,これら加工材の硬さは比重0.5程度の広葉樹と同等である.また,打ち抜き金属板を用いて超音波振動を施すと,木材にエンボス加工を施すことができ,プレスのみによる場合よりも板厚のもどりが抑制された.表面炭化においては,日本の伝統的建物の外壁材に用いられる焼杉のように,耐火性能や耐候性を高める効果を期待したが,試験片に均一な表面炭化層を施すまでには至らなかった.超音波振動による表面加工法が確立できれば,圧縮等の既存の処理方法よりもエネルギーや加工時間の削減が期待できる.

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© 2010 日本デザイン学会
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