2011 年 58 巻 2 号 p. 65-74
音は記号であり、様々な事物を示し、種々の事象を誘引する。このような性質を「音の記号性」と呼ぶ。聴取音は、原音、音源、意味を示し、心理、生理、活動を誘引し、これらが多面的に作用して、時間や価値等の指示も行う。これに従い、本論文では、サウンドスケープ"場"を「音の記号性が作用する"場"」と定義する。サウンドスケープ"場"の構成要素は、空間及び場所、音源、外界の音、聴取者、触媒、音の記号性が聴取者に作用した結果である。触媒とは、空間及び場所、音源、音、聴取者以外に、音の記号性に影響を及ぼす事物である。また、サウンドスケープ・デザインとは、「サウンドスケープ"場"及びこれと交わりを持つ"場"のデザイン」である。そして、その目的は、記号性の最適化であり、直接のデザインの対象は、空間及び場所、音源、聴取者、触媒である。