デザイン学研究
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メディアで「書く」力を育成するための体験デザイン
-映画制作をモチーフにしたメディア作品制作体験のデザインについて
長谷 海平
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2012 年 59 巻 2 号 p. 2_87-2_94

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抄録

本論は映像で表現する能力を得るための教育的体験について実践をもとに論じたものである。本論において映像で表現する能力とはメディア・リテラシーの本来的な意味である「読み書く」能力のうちの「書く」能力の事を指す。映像の表現には文法的なものがあり、映像で「書く」能力とはすなわちこの文法を手に入れる事になる。ただし、固定的な映像文法が確固として存在しているという考え方は映画理論として正しくはなく、またメディア・リテラシー論的に実践をデザインするための望ましい理解にはなっていない。これらをふまえ、本論では学習者自身が映像の文法的なものを自ら生成していくような実践になるように映画制作をモチーフに体験をデザインした。
その効果についてはデザインされた体験を実践する事から測定を行った。その結果、体験から学習者は自身の映画の個人的な言葉と言うべき統辞的手法を発見し、具体化しており本論で述べられた体験が、映像で「書く」力を養う体験デザインになっていたことが明らかになった。

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© 2012 日本デザイン学会
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