2013 年 59 巻 5 号 p. 5_51-5_60
本論は,松下電器において真野善一が目指したデザインマネージメントについて,主として真野の発言,記述とヒアリング調査より,以下の内容を明らかにした。
1) 真野は,様々な場面を利用して,経営幹部,関連部門に対してデザイン啓蒙の発言をした。
2) 施策としては,デザイン協議会, デザイン研究グループを発足させ,初のデザイン方針発表会を開催した。
3) 真野の施策はデザイン力強化とそのためのデザイン組織の一元化を目指したが,会社の理解を得ることは難しく,デザイナーは各事業部に分散した。
4) 真野は,造形こそ主たるデザインマネージメントでありデザイン評価に繋がるとして取り組んだが,会社はデザイン組織マネージメントを求めていた。