抄録
本研究の主な目的は、円滑性追跡眼球運動における速度知覚に動的視対象の視認性による周辺視野の感度が及ぼす影響を調べることであった。追跡タスクの難易度は、以下の刺激特性による視認性で調節された。背景的特性(格子パターンの色構成:白黒対白グレー)と曲線の太さ(0.06deg、0.18deg、0.36deg)が異なる6種類の比較刺激を用いて実験を行った。PC画面上を正弦波の軌跡を描きながら左から右へ移動する比較刺激の先端点の速度を標準刺激よりも「遅い」または「速い」と感じたかの二者択一による実験から、PSE(主観的等価点) を導出し、分析を行った。結果、円滑性追跡眼球運動の速度知覚は背景である格子パターンの色構成が白とグレーであるときと、正弦波曲線の太さが太いほど有意に速くなることが確認された。これらの結果から、円滑性追跡眼球運動における速度知覚への周辺視野の影響及び周辺視野の速度知覚の変容効果が難易度によって異なることが確認された。