2015 年 62 巻 4 号 p. 4_93-4_102
BOP を対象としたプロジェクトの場合,先進国のデザイナは「現場」「関心」「持続性」を考慮しなければならない。なぜならば,BOP を取り巻く様々なマクロおよびミクロ状況が異なるため,さらには,先進国が介入しない状態で成り立っていたバランスが崩れる可能性があるためである。フレームワーク構築にあたって,現象の重視と関心の相対化という特徴を踏まえ,理論的視座として構造構成主義を採用した.本フレームワークは,4 つのオリジナルツールで構成される.「デザイナの関心モデル」は,先進国のデザイナの関心を相対化するためのツールである。「現象マップ」は,現地の現象を可視化できるだけではなく,現地の人々の関心を構造化するためのツールである。「アブダクションモデル」は,現地人の関心を満たしたプロダクトのコンセプトのデザインを行うためのツールである。「サステナビリティモデル」は,設計されたプロダクトを中心として,環境的,経済的,社会的持続性を考慮したシステムをデザインするためのツールである。