抄録
人々の価値観が多様化し変化の激しい現代においては,潜在的な価値を掘り起し,可視化することのできるデザイン手法が求められている。本研究では,パーソナルモビリティの価値構造を把握し,新たな価値を提供するためのデザイン評価・診断システムの構築を目的としている。本稿では,まず,雑誌調査によって抽出したデザインの価値要素を整理し,約600項目のデザイン評価指標を構築することができた。次に,評価手法について検討を行い,実際に開発中のパーソナルモビリティを対象に評価実験を実施した。さらに,評価実験の分析結果をもとにデザインを学ぶ学生数名に次世代のパーソナルモビリティについてデザイン提案をしてもらい,評価データの有用性について検証した。その結果,異なる立場のユーザーグループ間の評価のズレといった新たな視点から商品開発におけるアイディア展開やコンセプトの立案などで活用されていることがわかった。以上により,実用化に向けた課題は多いものの,パーソナルモビリティに特化したデザイン評価・診断システムを構築し,一定の効果を確認することができた。