デザイン学研究
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水戸市中心市街地の湧水空間デザインに見る人と水辺の関わり方の変容
熊澤 貴之
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2017 年 63 巻 5 号 p. 5_15-5_22

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抄録

 水戸市中心市街地に存続している湧水地の地形や整備状況から湧水空間の快適性を規定する要因を特定し,湧水空間における人と水辺の関わり方の変容を分析することで,今後の湧水空間における整備における重視すべき点を検討した.その結果,湧水地の空間的特徴は,線上に点在する断片的な空間,崖線タイプの地形,環境管理の度合いや湧水地の広さや囲われ度合いであることが把握された.特に湧水地の空間的特徴に大きな影響力を持つものは,環境管理の度合いと湧水地の囲われ度合いであることを明らかにした.また,水辺と人の関わりを分析した結果,生活活動や農業活動が衰退し,生業活動は縮小し,信仰活動や創造活動は継続し,公園としての整備によってレクリエーション活動が増加し,現在では,防災活動や教育活動が新たに実施されてきていることが明らかになった.まだ実施数は少ないが,近年,見られるようになった教育活動や防災活動は,新しい取り組みとして徐々に認識されていることが確認された.

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© 2017 日本デザイン学会
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