デザイン学研究
Online ISSN : 2186-5221
Print ISSN : 0910-8173
ISSN-L : 0910-8173
塩味と甘味の味覚評価に及ぼすボウル材質の影響
蔡 宛蓁佐藤 浩一郎寺内 文雄
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 68 巻 4 号 p. 4_17-4_24

詳細
抄録

 本研究では,材質の異なるボウルを用いることで,食品をより塩辛く,あるいはより甘く感じさせることを試みた。まず,異なるフィラーを用いた5種類の磁器製ボウルと2種類の単一金属製ボウルを作製し,それらの外観や手触り,重量に対する印象評価実験を行った。それにより,金属製ボウルからは塩味が,漆喰紙や鉄粉をフィラーとした磁器製ボウルからは甘味が連想されることが確認できた。ついで正規化順位法を用い,作製したボウルに入れた塩水と砂糖水を口に含んだ際の塩味や甘味の強弱を被験者に比較してもらった。その結果,金属製ボウルや口縁がザラザラしたボウルを用いることで,塩味を強く感じることが明らかになった。また,漆喰紙や鉄粉をフィラーとした磁器製ボウルと純銅製ボウルを用いることで,甘味を強く感じることが明らかとなった。さらに回答パターンによって類型化するにより,被験者を2つのグループに大別でき,それぞれのグループの塩味や甘味の強弱に対する評価の特徴を明らかにすることができた。

著者関連情報
© 2022 日本デザイン学会
前の記事 次の記事
feedback
Top