2022 年 68 巻 4 号 p. 4_35-4_44
2010 年前後、日本各地にご当地キャラクターが活発に生成され注目を集めた。現在、各地ではご当地キャラクターが地域へもたらした効果を振り返り、今後の継続的な活用を再考する動きが出てきている。本研究は、地域を象徴する特徴を取り入れた各地のご当地キャラクターの生成過程を事例として収集し分析することによって、地域固有の資源を生かした象徴的造形の活用と効果について考察するものである。本稿では、筆者らが2019年に実施した全国のご当地キャラクター運営組織を対象としたアンケート調査と量的分析の結果を踏まえ、聞き取り調査と質的分析をおこない、ご当地キャラクターの生成過程を含む包括的な活動についての理論的構造化を試みた。その結果、「対外的生成目的型」は、戦略的な運営によるイメージ定着、「対内的生成目的型」は、柔軟性のある活用による地域住民の参加が、重要であることがわかった。