デザイン学研究
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デザイン思考に関する研究の変遷
─ネットワーク分析を用いた文献研究
長尾 幸郎大井 美喜江
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2023 年 69 巻 3 号 p. 3_41-3_50

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抄録

 研究目的は、デザイン思考(Design Thinking)に関して学術分野でこれまでどのような研究テーマが展開されてきたかの変遷を時系列で分析し、全体像を捉えることにある。Web of Scienceに収録された学術論文の書誌情報を対象に、ネットワーク分析を用いてクラスタリングを行い、1,986本の論文から16のクラスターおよび各クラスターの中心論文を特定しながら考察を深めた。論文は3分野に分かれる。第一は理論体系化研究である。1991年から2003年までの主要な研究は工業デザインのデザインプロセスに関する理論研究であった。その後も研究が継続的に行われ今日ではデザイン思考によるプロジェクトの評価についての研究もおこなわれるようになってきている。第二に、教育分野への活用を試みる研究が2004年から始まった。2015年以降はより幅広い分野で創造性を育むためにデザイン思考の研究が活発に行われている。第三に、ビジネス分野への活用が2004年から始まり、様々な業種での研究が拡がり最も論文数の多い分野となっている。今日では組織研究、医療業界関連の研究が急増し、サステナビリティ、政策立案へ適用する動きも論文数はまだ少ないが徐々に増加してきている。

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