デザイン学研究
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「琳派」を表現するためのデザイン手法に関する研究
―日本の美意識を表現する工業デザイン造形研究(2)
杉本 美貴宇山 明穂
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2024 年 70 巻 4 号 p. 4_55-4_64

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抄録

 本研究は,現代の工業製品のデザインにおいて「琳派」の美意識を表現するためのデザイン手法を導出することを目的に研究を行なった。そのために,既往研究にて琳派の作品は工芸と関係が深いと指摘されていることに着目した。はじめに,琳派を代表する56点の作品の227 件の作品解説を5つの表現特徴に分類し,それぞれの表現特徴に関する記述をデザイン手法ごとに整理した。次に,それらのデザイン手法と工芸との関係性について考察した。
 その結果,〈単純〉のデザイン手法が【面表現を簡略化】,【記号化】,【極端化】,【省略】,〈破調〉のデザイン手法が【構図を創意】,【再構成】,【暗示】,【定番を脱却】,〈相対性〉のデザイン手法が【対比】,【同調】,【絵と文字を融合】,〈加工開発〉のデザイン手法が【異種混合】,【新素材を利用】,【新工法を利用】,〈立体感覚〉のデザイン手法が【表裏を利用】,【構成を利用】,【手順を利用】であることを導出し,現代の工業製品の事例としてスマートフォンのUI の試作により,導出したデザイン手法の有用性が示唆された。

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