日本補助犬科学研究
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事例研究
盲導犬普及の地域格差に関する一考察
福井 良太
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 5 巻 1 号 p. 51-56

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抄録

こんにち,我が国には1,000頭を超える盲導犬が活躍しているが,盲導犬普及率(人口100万人あたりの盲導犬ユーザー数:普及率)には最大8倍もの地域格差がある。この論文では,各都道府県における,I.盲導犬支援団体(支援団体)の有無,II.盲導犬訓練施設の有無,III.人口密度,をそれぞれ調べ,都道府県別の普及率との相関関係を検証することにより,この問題の背景について理論的説明を試みた。結果として以下のことが確認された:I.支援団体のある地域では,ない地域に比べて普及率が2倍近く高い。II.盲導犬訓練施設のある地域の平均普及率(8.1)は,ない地域のそれ(9.2)よりもやや低い。III.人口密度の低い地域ほど,普及率が高い傾向にある。考察では,支援団体が地域の盲導犬普及啓発に大きな役割を担っていること,盲導犬訓練施設が支援団体の活動を抑制する可能性のあること,低い人口密度と少子高齢化が普及率に影響を与える可能性があること,が示された。

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© 2011 日本身体障害者補助犬学会
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