抄録
フィリピン理数科教師訓練センター (Science Teacher Training Center:略称STTC) は日本政府の無償資金協力(約20.5億円-建物、機材を含む)として1990年にフィリピン政府に供与された。その有効利用とこのセンターがこれまで以上に名実ともにフィリピン理数科教育の中心機関としての役割を持つような高度な機能と能力を持つ理数科教師訓練センターにレベルアップするため、1996年6月1日より5年間のプロジェクト方式技術協力が開始され、1999年5月31日に正式にその協力を終了した。この期間、合計36名の長期・短期日本人専門家が派遣され、実験実習に焦点を当てた理数科教育の発展を目指して技術協力が展開された。日本に受け入れた研修員は18名、制作された実験実習指導書(ソースブック完成版)は16種類、簡易実験器具約70種類、ビデオ教材約20種類、ポスター約20種類など多数の研修教材を制作した。カウンターパートが実施した全国研修では協力期間中約960名の地方理数科教師研修指導者が参加し、そのターゲットを100%達成する実績を残した。本報ではプロジェクトの実際と問題点に触れると同時に、その壮大なる教育研究の結果について報告したい。