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~宇宙的視野からの人材育成法を北海道から発信する~
下郡 啓夫
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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北海道は,航空宇宙分野の国内随一の研究・実験拠点を目指し,宇宙実験場の開設,宇宙ビジネスの誘致等を進めている.中でも大樹町は,民間にひらかれた商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」を本格稼働,さらには,HOSPO の運営,宇宙船打ち上げ支援業務,地域創成を含むビジネス機会の提供等の支援を目的としたSPACE COTAN 株式会社を設立した.このような宇宙産業を核とした地方創成が進む北海道では,どのような人材育成が必要であろうか. 本シンポジウムでは,、宇宙関連技術の研究人材,宇宙規模の視点・視野を有した,新たな人間の存在意義や価値観を創造できる次世代型人材の開発について考える.具体的には,国連貿易開発会議(UNCTAD)の提言する3 つの創造性のフレーム(経済的創造性・科学的創造性・文化的創造性)を起点に,異分野を収斂する融合技術としてのコンバージングテクノロジーを実現する文理融合のあり方,総合知を考える.
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小田切 義憲
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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北海道十勝地方の南部に位置する大樹町は,1985 年から航空宇宙産業基地の誘致と,宇宙のまちづくりを推進してきた.大樹町が沿岸部に整備した多目的航空公園を拠点に,これまで小型ロケットの打上げや無人航空機の飛行といった航空宇宙関連の実験を多数受け入れている.世界的な民間宇宙開発の進展を受け,ロケット射場不足解消への貢献と航空宇宙関連産業による地域活性化を図るため,2021 年4 月に大樹町が筆頭株主となり宇宙関連事業を推進するSPACE COTAN 株式会社を設立,多目的航空公園の愛称を北海道スペースポート(HOSPO)とした.HOSPO を民間・行政・研究機関といったあらゆる利用者に開かれた宇宙港と位置付け,HOSPOを中心に航空宇宙関連産業が集積した「宇宙版シリコンバレー」創出することで,北海道をはじめ,日本の発展に貢献することを目指している.
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ー金沢大学ビッグデータプロジェクトを例としてー
寒河江 雅彦
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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金沢大学では2017 年ごろから自治体との連携協定に基づいて、自治体の持つ様々な行政データの提供に加えて、公的ミクロデータ(個票)の利活用、大規模調査データの預託制度とその活用、センサー系データの利用(携帯位置データ、GPS データ)、国民健康保険(KDB)データ、独自に取得したメッシュネットワークを用いた見守り位置情報、などを分野横断的に活用することを目的とした様々なデータを結び付けた研究用データのプラットフォームを構築しています.その統合型データプラットフォームを用いた分析プロジェクト(まるごとモデリング)を実施中です.本稿では、このようなデジタルデータを分野横断型による活用によって新しい応用分野が広がり、データサイエンス教育に役立つ取り組みについて紹介します.
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渡邊 淳司
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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現代社会において,価値を共創し,ゆたかに生きるためには「ウェルビーイング(Well-being/Wellbeing)」という概念は必須である.筆者は,ウェルビーイングの学びの目的を,それぞれの人がウェルビーイングを実現できる資質/能力を育むことであると考え「ウェルビーイング・コンピテンシー モデル(NTT-KIT 2024 年度版)」を開発した.このモデルに基づいて,ウェルビーイング・コンピテンシーの獲得において重要なことを認知・感情・行動の視点からそれぞれ考えると,解像度高く理解ための中間言語を持つこと(認知),その存在や内在的価値を実感すること(感情),主体的かつ協働的,反復適応的に“わたしたち”としてウェルビーイングをつくりあうこと(行動)である.本稿では,人(「I」・「WE」),社会(「SOCIETY」),地球(「UNIVERSE」)のそれぞれのカテゴリでコンピテンシーを獲得する上で重要となる点について述べる.
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〜αB-クリスタリンの誘導で身につける「細胞・身心一体科学」〜
跡見 順子
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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加齢や不活動によるQOL への影響は無重力環境への適応と類似しており, 宇宙環境を利用した今後の社会構築において, より一層「人間を中心とする」重力応答研究の深化と, 自分のいのちを知り生かすことができ, 物事を俯瞰的に捉えることができる人材育成が必要だ.人の身体は自然が生み出した創造物であり, 生命体の生存論理で生きている.しかし, 同時に身体はある個人の所要物としてその個人の活動を支えている.だからこそ求められる「人間の生物学」を,身心一体科学から提案したい.その3つの教育コアは、1)健康は自分と細胞との協働で獲得できることを実践により理解する,2)その細胞の基盤として1G 下における自分の身体を位置づける,3)脊椎動物由来の体幹のつくりと人の立位の体幹の不安定性,そして軸制御の正規化・意識による制御の必要性,である. 本年 3 月刊行の「身心一体科学考え方と方法」(跡見順子2024)を参照されたい.
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大谷 忠
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究では,既往のSTEM/STEAM教育における考え方について整理するとともに.STEM+Aの接続と広領域な横断性に注目し,STEAM教育の実践・普及における糸口を探った.既往のSTEM/STEAM教育の捉え方について整理した結果から,教授・学習プロセスの歴史的な経緯を辿り,その根源に科学的な探究とDeweyの問題解決学習における探究の二面性を考慮する必要があることがわかった.そこで,本提案ではArt(A)の芸術的省察による自己省察をSTEAM教育の問題解決学習に取り入れることにより,探究による二面性を考慮したSTEAM教育の学習モデルを提案した.
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手塚 千尋
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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日本の STEM教育 の 「 A」 が,芸術 だけ ではなく広範囲な概念である リベラル・アーツ と 定義 された背景 を Society5.0で求められる ELSIに対応する「総合知」の獲得と態度育成に求め, 「芸術的省察(小松 , 2018, 2021)」を手掛かりに STEM分野 との接続点を 見出すことを 試みた デザインベースド・リサーチDBR)に則り,芸術的省察が起き得る仮説の理論形成に向けて,「芸術的省察」を構成する要素を抽出し 仮活動の最小単位 を 次の5つ とした ①身体性が伴う省察 , ②美的経験が伴う省察 , ③自己内省 , ④対象との関係性をとらえ直す⑤意味や価値をつくりだす .今後は, STEAM教育の各学習プロセスにおいて活動を検討する.
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谷田 親彦
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本稿では,中学校技術・家庭科技術分野との連携を目指して開発された小学校図画工作科における指導方法に基づいて,デザインの観点からA(Art)とE(Engineering)の関連を検討した.大谷他(2017)の提案する2段階の設計学習は,図画工作科において自由で多様なアイデアを引き出す拡散的な思考に基づく「発想・構想」に加え,技術分野で求められるテーマや制約条件に沿って最適な作品にする収束的な思考に基づく「設計」を行うことを想定している.2段階の設計学習に類似する考え方として,「The Double Diamond (Council, D 2005)」や「生成 (generation)-評価 (evaluation) を拡張したデザインプロセス(田浦・永井2010)」などが確認できた.
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青山 和裕
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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STEAM教育の充実が求められ,学校現場での実践も普及しつつあるが,STEAMにおける数学(M)の位置づけや実践における数学の関わり方についてはとらえ方が定まっておらず不明瞭な点がある.例えば大谷ら(2024)は197件の論文を分析した上で,それらの実践についてエンジニアリング(E)や数学(M)が見当たらなかったことを報告している.それに対して Yakman(2008)は,数学はすべてのコミュニケーションの基礎となる言語であり,概念と理解の間の橋渡し役であるなどと数学・数学教育の重要性を主張している.筆者もYakmanの立場に立ち,数学の関わりや位置づけについて提案する.羽田のまちの防災という教材を例に,STEAMの問題解決の各プロセスにおいてどのように数学が関わっているかまとめた.
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中西 康雅
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究では,工学におけるエンジニアリング・デザインの役割について整理するとともに,「試作(プロトタイピング)」し,試験,評価することの意義について検討した.そして,目的や工程に応じて試作や評価の方法が異なり,このプロセスが早期の問題発見や改善につながり,このことにより品質の確保・向上がなされていることを示した.
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稀少野生動物のロードキル問題を事例として
三宅 志穂
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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生物多様性の損失は人間の行動によって引き起こされており,その保全にむけて人々の行動変容を促すことは世界各国で必須な課題となっている。本研究では,大学生向けバイオリテラシー育成プログラム開発を目指して,生物多様性保全問題の具体的事例を扱いながら設計に必要な要素を導き出す。すなわち,1)どんな問題を対象とするか,2)誰を対象にしてどのようなテーマを設定するのか,3)行動変容をどのように評価するのか,の3点である。本研究では世界自然遺産に登録された「奄美大島,徳之島,沖縄島北部および西表島」に生息する稀少種の脅威をテーマにして,観光客として当事者になることを想定している。観光客という立場は大学生だけでなく誰もが当事者となるため,ロードキルという悲劇を回避するために自分に何ができるかという観点で取り組むことにより,プログラム参加者は生物多様性保全に貢献しようとする行動を具現化できるようになる。
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幸田 真梨子, 三宅 志穂
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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持続可能な社会の実現に向けて市民一人ひとりの価値観や行動の変容がもとめられるなか,生物多様性に関する環境教育の重要性が高まっている.本稿では,2023年から認定が開始された自然共生サイトに注目して,その教育活用の状況と可能性について検討した.30by30アライアンスのWEBページで公表されている公開情報から,2023年前期に認定された122か所の自然共生サイトにおける教育活動の実施状況やその特徴を整理・分析した結果,7割以上のサイトで環境教育が実施されており,その対象は一般市民,学校の順に多かった.実施形態は自然観察,保全・清掃活動等といった野外活動が多く,都市部においては貴重な野外活動を伴う環境教育の場として活用されていることが示唆された.
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—オンラインツアーを活用した教育プログラムの調査結果に基づいて—
出口 明子, 三宅 志穂, 大貫 麻美, 三好 美織
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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筆者らは一般市民の生物多様性保全に関する理解を促進することを目指して,オンラインツアーを活用した教育プログラムの開発・評価を行っている.本研究では生物多様性保全教育に関わる評価指標の検討に関する示唆を得ることを目的に,大貫ら(2022)及び出口ら(2022)において開発した野生動物の保護施設に関するオンラインツアーを活用した教育プログラムにおける調査結果の詳細な分析を行った.その結果,実施前における倫理・道徳に対する意識の高低が教育プログラムへの興味関心の変化に影響を与えることが示唆された.
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サスティナビリティ・コンピテンシーの観点から
大貫 麻美, 三好 美織
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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生物多様性保全は,将来にわたる持続可能な社会の構築に必要不可欠であり,そのコンピテンシーの涵養に資する教育は重要である. 生物多様性保全教育において育成が期待される具体的なコンピテンシーを,「サステナビリティのためのキー・コンピテンシー」(ユネスコ,2020)の枠組みに依拠しながら整理し,生物多様性保全に関する教育プログラムの評価指標を作成した. その評価指標に基づき,大貫ら(2022)で開発した生物多様性保全教育プログラムの評価を行い,教育プログラムに,「規範的コンピテンシー」の発揮を促す場の導入が期待されるなどの改善点を明らかにした. このことにより,評価指標の実効性が確認された.
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- https/www.yiijima-gc.org/で試みていること -
飯島 康之
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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作図ツールコンソーシアムでの取り組み(2000-2001)などで,学校教育でのICT利用を進めていく上で,教科書準拠コンテンツ等の役割が大きいことを実感した.GIGAスクール構想等などによりICTを活用する教員層が広がりは初心ユーザーの増大となり,教科書準拠コンテンツも「誰でも使える」ものが中心となる..それらを出発点としつつも,探究型の学びにシームレスにつなげていくための仕掛けとして,教科書との関わりを持ちつつ,より発展的な数学的探究や授業の概要を動画で解説することを中心としたリソースの試作について報告する.
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渡辺 信, 青木 孝子
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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数学的思考は図を描くことから始まる。円は理解しx2+y2=1という数学的言葉の表現を理解するが、言葉の説明x2/a2+y2/b2=1では楕円理解が乏しい。数学の理解にとって、図を描くことが重要な役割をする。また、数学問題の正しい理解のためには図は不可欠であることを「扇形に内接する正方形」の問題で説明し、その図を描くことの延長線上に数学の新しい発見の楽しさを実際例で示す。Technologyによる図を描くことが簡単にできることを活用し、その図によって数学理解をより深めることができるようになったことを示す。
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濱口 直樹
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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高専や大学における数学教育では,担当する教員が図形教材を活用しながら様々な工夫を行うなど,日々教材研究を進めている.これらの図形教材は,教科としての数学における学習内容の理解を助けるものである.一方,高専や大学のカリキュラム設計上でも重要な位置づけとなるPBL科目等をはじめとして,様々な分野に現れる数学的内容を学ぶ場面においては,教科としての数学とは異なる学生の様子がうかがえる.扱う内容に対する興味から始まり,学生自身の主体的な学びにつながるものも少なくない.本稿では,PBL科目や農学部で学ぶ数学的内容などのいくつかの例を通して,教科としてではない数学的内容の学びについて考察する.
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芝辻 正, 青木 慎恵, 古宇田 大介, 金森 千春, 高村 真彦, 牧下 英世
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
フリー
学習指導要領が改訂されて課題学習が,数学Ⅰ,数学Ⅱ,数学Ⅲで扱われることとなり,その単元の内容の他,単元間の相互に関連付けた内容を生活と関連付けたり発展させたりするなど,生徒の主体的な学習を促し,数学のよさを認識させ,学習意欲を含めた数学的に考える資質・能力を高めるような課題が求められている.本研究は,高等学校数学科検定教科書「数学Ⅱ」全17冊(5社)の課題学習がどのように記載されているかを調査し,いくつかの課題についてテクノロジーを活用した事例を検討する.
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野田 健夫, 江木 啓訓, 北本 卓也, 金子 真隆
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究は,A. Sfard等が提唱するcommognitive perspectiveに基盤をおいて,相関係数のアフィン変換不変性にかかわるPCを用いた協調学習の状況を分析するものである.対話テキストをもとに,「分散」「ばらつき」に関わる用語が用いられる文脈に注目することで,グループにおける思考の進展をいかにして跡付けられるか,例証することを試みる.
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松原 憲治
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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現行の学習指導要領では探究的な学習が重視されているが,各教科等において探究の意味するところは様々である.本課題研究では,問いを中心に探究的な学習を整理し,STEAMを構成する各教科・領域との関係や幼児教育段階からの接続を検討する.特に,理科,数学科,技術科,地理歴史科(歴史総合)における探究的な学習や幼児期の遊びにおいて,どのような段階で,どのような問いが,どのように用いられるかを整理・検討する.探究的な学習の在り方に関する議論を基に,探究を深める科学カリキュラムモデルの開発につなげたい.
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馬場 卓也
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究では,算数・数学教育における社会的オープンエンドな問題(馬場,2007,2009)による探究と問いについて議論する.文部科学省によれば,「探究は…変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成する」とある.探究の最初に取り組むべき問題とその問題を契機とした問いが重要である.そのため,本研究では問題カテゴリーと問題例の関係を考察し,問題カテゴリーの本質と問題例の範例性について検討し,その中での問いの意味を検討したい.具体的に「ルール作り」という問題カテゴリーを取り上げ,算数・数学教育における探究と問いについて,探究の中で何をどのように問うのか,問いの中にある数学性について検討する.
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上野 耕史
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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技術・家庭科技術分野(以下「技術科」)における探究的な学習の他教科等との相違を明確するために,学習指導要領解説技術・家庭編(以下「解説」)から目的・過程を整理するとともに,そこでの「問い」の特徴を確認した.技術科では,「中学校でしか履修しない」等の理由から,「生活や社会を支える技術」,「技術による問題の解決」,「社会の発展の技術」の要素ごとに,目的・過程の異なる探究的な学習が行われていた.また,「問い」には,目的以外にも,生徒等の実態に配慮するなどの様々な条件が求められていた.
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二井 正浩
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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2022年度より高等学校で実施されている地理歴史科の必履修科目「歴史総合」は日本史と世界史の枠を越えた新科目である.この「歴史総合」は生徒が歴史を「学ぶ意味」について実感し,「自分事」の問題について歴史的に探究できるように設計されている.そのため,主要大単元(B・C・D)は生徒が自分で「問い」を設定することからスタートし,単元末では現代的な諸課題についての「問い」を探究するように構成されている.生徒は「問い」を探究することで歴史認識の特性や歴史との付き合い方も学ぶ.「歴史総合」は,一方的に“与えられてきた”歴史をひとり一人の生徒に「取り戻す」試みだとも言える.
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――指導指針にみる「科学的探究の芽生え」の日・米比較
小林 佳美, 松原 憲治
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
フリー
本研究では,科学的探究の芽生えを捉える視点として,幼児期から低学年期へとつながる探究の問いの条件,及び日・米で目標とされる「問い」を立てる力の指導方略の差異と普遍性を検討することを目的としている.そこで,小学校の理科教育,及び乳幼児期を対象とした探究プロセスの研究を整理し,理科教育で定義されてきた科学的な問いに,保育領域で探究の要素として重視されてきた目的意識をもって問題解決に向かう姿,原初的興味に基づく探索や自由試行する姿を加え,新たな探究の問いの分析枠組みを提案し,日・米のナショナルレベルの指導指針が求める「問い」の特性と指導方略を分析した.
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―倫理的側面を含んだ問いに着目してー
井川 拓洋, 松原 憲治
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
フリー
本研究は SSIに対する意思決定過程の中で理科の見方・考え方や理科についての見方・考え方を働かせるために,理科の授業でどのような単元構想及び授業展開が考えられるのか,授業実践を通して示唆を得ることを目的とする.まず,授業実践の背景にある本質的な問い,SSIにおける市民の役割について整理・検討した.次に,「生物と細胞」の単元において,NOSとSSIを導入した単元開発及び授業実践を行った.理論的検討及び授業実践を通して,disciplinaryな問いを通して理科を学ぶことだけに重点をおくのではなく,SSIのようなtrans disciplinaryな問いを科学的思考の出発点とすることも必要であること,NOSの指導とSSIの指導を断片的なものとして取り入れるのではなく,“つながり”を意識し,包括的に授業や単元をデザインしていくことが求められることを指摘した.
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川越 至桜
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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社会的な課題を解決するとともに将来の社会をデザインできる創造性を持った人材育成として,我が国ではSTEAM教育が重要視されている.現行の学習指導要領においては,STEAM教育の推進および各教科における探究活動の推進が打ち出された.一方,探究学習において困難とされている点の一つに,生徒自身が「問い」を設定することが挙げられる.東京大学生産技術研究所次世代育成オフィスではSTEAM型探究活動を通して,探究活動の「問いの設定」において「共通化」できる点と「個別化」できる点が見えてきた.生徒自身の興味のあるテーマや課題に対して現状を理解し,限られた時間の中で「問い」を解決するために必要なことは何かを具体化していくプロセスは,テーマや課題が異なっていても共通していると考えられる.本課題研究では,STEAM教育や探究活動における「問い」を設定していくプロセスに着目し,討論する.
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古屋 光一
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本課題研究の目的は,アメリカの理科のスタンダード(NGSS)が何を目指しているのかを明らかにすることである.なぜなら,NGSSには従来アメリカで重視していた探究(Inquiry)という言葉がなくなり,3次元とその統合が取り入れられることになった.しかし,それがどのような理科の授業を目指しているのかわからない.NGSS自体には,理科の授業の目標が記されていない.さらに学習過程のイメージや授業の作り方が一切ないのである.したがって,NGSSがどのような理科の授業を目指しているのかを明らかにすることを目指し,理科教育の研究者が,複数の視点から連携しながら,本プロジェクトの初年度の成果と今後の課題を議論する.
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Huff Kenneth
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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While traditional science approaches emphasized science content, the NextGeneration Science Standards (NGSS) emphasize science and engineering practices and call for students to explain phenomena in science and design solutions to problems in engineering. The NGSS science and engineering practices directly involve students in how science is done andhelp students better understand how scientists and engineers do their work. The NGSS emphasis on practices keeps students actively engaged through sensemaking investigations. The NGSSrepresent a shift from traditional science learning and require shifts in K-12 classroominstruction that can be challenging for teachers to implement. I was a member of the NGSS writing team and have over 30 years of experience as a middle school science teacher andteacher mentor. I will describe how NGSS classroom instruction impacts student learning and share real-world insights for implementing the NGSS.
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GRCを中心として
三好 美織, 大貫 麻美
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究は,アメリカにおけるFrameworkおよびNGSSに基づく新しい科学教育の実際を明らかにする一助として,科学の3つの次元を伴う生徒の科学パフォーマンスが授業においてどのように実現されるのか,GRCパフォーマンス・シークエンスを用いた学習指導に焦点を当てて検討した.GRCは,現象の理解に取り組む生徒のパフォーマンスおよび生徒の学びを促す教師の指導の両者に資する構造を提供し,科学の3次元の学習の実現に寄与している.
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―旧スタンダードと新スタンダードの問題の分析を通してー
山中 謙司, 古屋 光一
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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ニューヨーク州は理科の標準到達度テストを4年生(小学校4年生)と8年生(中学校2年生)を対象に,毎年,全児童・生徒に実施している.このテストはニューヨーク州の旧スタンダード(1996)が公開されて以来,その旧スタンダードに基づいて開発された.その後,全米でNGSS(2013)が公開され,それを受けてニューヨーク州のスタンダード(NYS P-12 SLS,NGSSに準ずる)による授業が2017年から始まった.これに対応した新たな標準到達度テストが2024年,今年の4月に初めて実施された.本研究では旧スタンダードと新スタンダードの問題の相違点を明らかにする.これを通してNGSSの下で児童・生徒が身に付ける学びがどのようなものかを示す.
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雲財 寛
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本稿ではPISA2025の科学コンピテンシーの中でも「現象を科学的に説明する能力」に着目し「現象の科学的な説明」の特徴を明らかにすることを目的とした.まずPISA2015とPISA2025を比較すると「さまざまな表現形式を使ってそれらの形式間で変換することができる」という項目が新たに明記されていることが明らかになった.このように,PISA2025の科学コンピテンシーは,文章のみならず様々な表現形式での説明を踏まえていることから,様々な表現形式を用いて現象を説明・予測するモデルを構築・評価・修正する能力である「モデリングコンピテンス」といくつかの共通点がみられることを指摘した.これを踏まえ「現象の科学的な説明」においては様々な表現形式によってモデルを表現したり示されたモデルを解釈して別の表現に変換したり現実のデータに合わせてモデルを修正したり評価したりすることが求められていることを指摘した.
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後藤 顕一, 何 佳敏, 孔 泳泰, 鮫島 朋美, 寺谷 敞介, 野内 頼一
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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科学教育における数量的な扱い方は,今後の我が国の進展にとっても,国際的な視点から見ても極めて重要である.数量的なリテラシーは,科学技術の理解と発展に不可欠であり,適切な判断を下すために必要な事項である.多くの国々が持続可能な社会を構築するために,数値の正確な理解と活用の重要性を認識している.このような背景から,数量的なリテラシーの向上と教育改革に取り組むことが,未来の世代の成長と社会の発展に寄与できると考え,本企画を提案する.
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寺谷 敞介, 後藤 顕一, 鮫島 朋美, 北川 輝洋, 何 佳敏, 孔 泳泰, 野内 頼一, 生尾 光
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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科学的探究を駆動するモデルベース思考に着目し,探究を通してモデルベース思考を育成する教材・教具と指導法について検討した.モデルベース思考は学習者の主体的な測定への取り組みを促す.測定実験において測定値の信頼性を示す不確かさを評価すると,相対不確かさを課題達成の指標にできる.相対不確かさの目標値は定説探究から仮説探究への探究の変化を促し,モデルベース思考の実践の機会を与える.
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孔 泳泰, 後藤 顕一
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究では,数値の正確な理解と適切な活用を目指して,教員養成大学の理科授業にデータの収集から解析までの過程を含むデータサイエンス活動を取り入れ,数値リテラシー力量を涵養することを目的とする授業実践を試みた.
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何 佳敏, 後藤 顕一, 孔 泳泰, 寺谷 敞介, 鮫島 朋美, 野内 頼一
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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中国の新学習指導要領にて,科学探究に必要な基本素養育成が明言され,基本素養の必要性が強調された。本研究は,新学習指導要領にて「科学教育における数量の扱い方」に関する内容を調査し,その位置づけを調べた。また,実際の教育現場では,科学探究におけるデータ処理に関する教育がどのように行われているのかを調べた。
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鮫島 朋美, 後藤 顕一, 何 佳敏, 孔 泳泰, 野内 頼一, 寺谷 敞介
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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国際バカロレアプログラムのDP化学においては,「科学の本質」に基づくツールと探究プロセスが示され、実験結果から得られる測定データの扱いを学ぶ。データ収集や処理において、誤差や不確かさなどの数学的ツールを厳密に扱い、そこから得られる結論の正当性を生徒自身が議論していく学びが展開される。
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ー中学校数学教科書における「C.関数」領域の分析からー
峰野 宏祐, 佐伯 昭彦, 川上 貴
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本稿の目的は,モデリングの活動のタイプがSTEAM教科・領域の固有の特徴とどのように関連づくのかについて,具体的な教材の分類を基に帰納的に検討することである。まず,数学的モデリングのタイプを先行研究を参考に〔タイプ 1〕数学的モデルの構築,〔タイプ2〕数学的モデルの適用,〔タイプ3〕数学的モデルによる意思決定,〔タイプ4〕その他 に分類した。さらに日本の中学校数学教科書に掲載されている「C. 関数」領域の関数の利用に関する問題を抽出し,各問題がどのタイプのモデリングに相当するかを調べ,分類した。また,活動のタイプが数学以外のSTEAM教科・領域固有の特徴とどのように関連しているかを分析した。この分析結果により今後,教師が統合を目指す数学以外のSTEAM教科・領域に関連する原問題の特定を容易にし,数学的モデリングを核としたSTEAM教材を開発するための第一歩となることが期待される。
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金児 正史, 土田 理, 錦織 寿, 佐伯 昭彦, 川上 貴, 後藤 顕一, 早藤 幸隆
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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高等学校化学の教科書は,化学反応速度の単元の冒頭で,例えば酸化マンガンを触媒とするH2O2の分解速度の実験データを示し,その分析を行う展開である.そしてその実験では,H2O2の濃度の平均値が0 mol/Lのときに反応速度が0 mol/L・sになるデータが収集されていないのにもかかわらず,分解速度はH2O2の濃度の平均値に比例することがわかる,と結論づけている.この点について筆者らは疑問を持ち,議論を重ねた.その結果,分解速度はH2O2の濃度の平均値に比例すると考えてよいのか発問すれば,生徒は主体的に科学的探究に取り組むだろうと考えるようになった.筆者らは,実験を伴う7校時程度の学習指導案と,実験を伴わない2校時程度の学習指導案を作成し,これらの学習指導案をもとに,授業実施予定の化学科教員と,生徒が自ら実験し,データを分析・考察する過程について議論した.
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―教科書分析を通して―
大谷 洋貴
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本稿では,中学校理科では二変量データに対してどのようなモデルが作成されるのか,どのようなモデリング活動がなされているのかを,教科書分析によって調査した.算数・数学科において統計的な回帰モデルは高等学校の指導内容であるため,中学校理科ではデータの散らばりを考慮しない数学的モデルを利用したり,インフォーマルな方法で回帰モデルを作成したりしていた.また,教科書では,作成した統計的モデルの妥当性をテストする活動がないために,モデルの探索と確証が混在している可能性があることを指摘した.
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山中 仁
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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数学的モデリング教育における今日的課題の1つとして,数学的モデリングと単元内容の接続(とりわけ,数学的モデリングと論証の接続)が挙げられる.しかしながら,数学的モデリング教育の研究においては,「学ばれた数学」の応用として数学的モデリングを取り扱うものが多く,カリキュラムとして設定された「学ばれるべき数学」(すなわち,教科書に現れる定義・定理・証明)自体の理解に直結した研究は国の内外を問わず僅少である.本稿では,数学的モデリングと問題解決場面の関係,とりわけ,数学的モデリング教材が誘導する問題場面が問題解決場面に与える影響に焦点を当て,この方面に関する先行研究を整理すると共に,筆者が最近試論的に行った実践事例について報告を行った.
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-「精密性」に着目した授業案の開発-
瀧本 家康
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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教科間の関連付けの視点が重要となるSTEM教育の充実が求められている.理科の実験結果の評価を行うためには,潜在する統計的モデルの意識化が重要であり,理科と数学の連関は高い.実験や測定の成否は,結果の「正確性」と「精密性」の2つの側面から評価が可能であるが,実際は,「正確性」に重点が置かれてきた傾向がある.結果の「精密性」の評価には,データの分布を捉えることが重要であり,このことは,潜在する統計的モデルの意識化が重要であるといえる.そこで,本研究では,実測値が真値と異なる場合,データの分布を捉えることが実験結果の妥当性の判断に有効であることを理解するための授業を開発することを目的とする.
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中村 大輝
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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本研究は,2023年に実施された国際共同調査ROSESを事例として,質の高い標本調査を小規模な研究者グループで実施する方法を明らかにすることを目的とした.科学教育における意思決定を支えるためには,学習者の実態を正確に把握することが重要であり,そのためには確率抽出による標本調査が有効である.ROSES調査では,日本全国の中学校第3学年の生徒を対象とし,層化クラスター抽出法を用いて標本を確率抽出した.調査回答の質を向上させるために,質問項目の視認性向上やIMC項目の導入などの工夫が施された.調査実施に際しては,教育委員会からの協力を得るための依頼の工夫や,依頼状の用意が行われた.一連の取り組みは,限られたリソースしか持たない研究者によって質の高い標本調査を行うための工夫として有効であり,今後の科学教育分野の標本調査の実施に向けた参考事例となると考えられる.
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長沼 祥太郎
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
会議録・要旨集
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ROSES(Relevance of Science Education-Second;第2回国際科学技術関心度調査)が2023年度に日本国内で実施された.2003年に実施された第1回目のROSE調査以来20年ぶりとなった今回の調査では,前回との共通項目カテゴリーおよび今回追加された新規項目カテゴリーがある.本稿では,課題研究における登壇者からの報告後の参加者を交えた議論に備えて,上記項目への基礎集計データを提示する.具体的には,全体のうち,共通項目カテゴリー「F. 私の経験した理科授業」「G. 科学・技術についての私の意見」および新規カテゴリー「H. ソーシャルメディアとデジタルメディアに関する私の経験」を取り上げ,これらの項目に対しての40校の3,417名(無作為抽出)の回答を示した.
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―ROSES調査における記述のデータからー
岡部 舞
セッションID: 1
発行日: 2024年
公開日: 2025/02/02
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本研究の目的は,日本で行われたROSES(Relevance of Science Education-Second)のデータを用いて,中学3年生が科学で明らかにしたいことは男女でどのような特徴があるのかを「知りたい/取り組みたい」の視点から分析することである.自由記述形式のアンケートを基に男女別の共起ネットワークを分析した結果,科学に対する興味について,「取り組みたい」という視点から分析したところ,男子生徒および女子生徒が興味を示す内容については類似しているものが多いが,その興味の方向性が違うことが新たに示唆された.
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