日本科学教育学会年会論文集
Online ISSN : 2433-2925
Print ISSN : 2186-3628
ISSN-L : 0913-4476
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表紙・目次
論文集
  • 次世代の育成に求められる学びの質とは?
    松浦 拓也
    セッションID: 210
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本稿は,生成AI等の技術発展や社会変化を踏まえて企画した,「次世代の育成に求められる学びの質」をテーマとするシンポジウムの趣旨と概要をまとめたものである.本シンポジウムでは,数学教育,技術教育,理科教育,学習科学の専門家にご登壇いただき,市民育成と研究者育成の枠組み,地域課題と結びついたコ・デザインによる真正な学び,PISA等の国際潮流を反映したSSI/NOSの導入,そして「社会の幸福」を目指した社会構成的な学習環境の構築など,それぞれの立場から具体的な提案が予定されている.本学会の多様な専門性を活かし,これからの科学教育研究の方向性を深く議論するものである.

  • 次世代の市民および科学教育研究者の育成に向けて
    大谷 洋貴
    セッションID: 222
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本稿では,学際的科学としての科学教育研究の課題と展望について,特に「次世代の市民」と「次世代の科学教育研究者」という二重の育成という観点から論じた.次世代の市民の育成には科学教育の目的・目標を具体的に検討する必要があることを指摘するとともに,Radfordの客体化理論を手がかりとして,次世代の市民に求められる学びを考察した.一方,市民育成を担う研究者は,他の学問領域に還元されない科学教育研究に取り組む主体になることが目指されること,したがって,「科学教育を一つの学際的科学として研究する」という本学会の理念の実現には,現在の我々自身がそのような科学教育研究に取り組む必要があることを述べた.

  • 堤 健人
    セッションID: 146
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本稿では,先端技術の絶え間ない台頭によって著しく変化する社会に適切に対応できる市民の育成に向け,今後求められる技術教育の学びについて検討した.技術リテラシーの重要性や技術教育における不易の教育理念から,これからの技術教育を構想する上で,学びの真正性,学びに対する当事者意識,包摂的協働性が重視されるべきであると考えられた.これらを技術教育に構造的に組み込む有効な方法論として,実際のユーザや多様な利害関係者を設計プロセスに巻き込むコ・デザインに着目した.N中学校における中学生も高齢者も一緒に楽しめるデジタルゆるスポーツを開発する技術的課題解決学習の授業実践を事例に,学校教育におけるコ・デザインの実現性や教育的効果を検討した.その結果,本事例の学びにおいては,学びの真正性,学びに対する当事者意識,包摂的協働性を具現化していることが示唆された.

  • ーPISA 2025およびVision Ⅲの視座に基づく科学的リテラシーの再解釈を手がかりとしてー
    野添 生
    セッションID: 144
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本研究ではPISA 2025およびVision Ⅲの科学的リテラシーに関する国際的動向を手がかりに,現代的課題に対応した理科教育の再定位と学びの質の向上について理論的に検討した.PISA 2025 における科学的リテラシーは科学アイデンティティやエージェンシーを含む資質・能力として再定義されていること,また,Vision Ⅲにおける科学的リテラシーでは科学と社会の相互作用や社会的責任に基づく市民性の育成が強調されていることを明らかにした.これらの国際的潮流を踏まえた上で,現代社会において理科で育成すべき資質・能力を多面的に検討し,Socio-scientific Issues(SSI)や科学の本質(Nature of Science: NOS)を重視した探究的・協働的な理科の学びへの転換の必要性を論じた.これからの理科教育において,学習者一人ひとりが現代的課題の解決に向けて能動的に関与し,持続可能な未来社会の創造に寄与する責任ある市民育成の重要性を提言した.

  • 益川 弘如
    セッションID: 35
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    この現代社会は,科学技術の進展を通して様々な社会課題の解決を目指しているにもかかわらず,「知のギャップ問題」(Homer-Dixon, 2000)と呼ばれるように,科学技術の進展が新たな社会課題を生み出し,その課題解決のために,私たちは「新たな知」を創り出さなければならない状況であり,そのスピードが加速している.そのような中,次世代を担う子供たちに,いかなる学びのゴールと学習環境を大人たちが準備し提供すべきなのだろうか.本稿では,認知・学習研究の知見も鑑み,質の高い学びの実現に必要な評価と学習環境を整理する.

  • 向 平和
    セッションID: 43
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    地方の人口減少に歯止めがかからず,地方の科学人材の確保も喫緊の課題と考えられる.現在,科学技術振興機構は,ジュニアドクター育成塾・グローバルサイエンスキャンパス(GSC)(現在は次世代科学技術チャレンジプログラムに統合)を展開し,突出した科学人材育成を推進している.第48回年会にて,小中高生対象の次世代人材育成事業を実施している島根大学,琉球大学,愛媛大学の取り組みについて発表した.第49回年会では西日本5大学で共同開催しているGSjointセミナーの参加大学から高校生対象の次世代科学人材育成事業の成果と課題を中心にご発表いただき,これからの次世代科学人材育成について議論を深めたい.大学間連携,実施運営上の課題と工夫点,実施プログラムの成果や波及効果,地方でのプログラムの位置づけと課題という視点で議論することで,今後の次世代科学人材育成の示唆を得られると考える.

  • ―琉球大学次世代人材育成事業の展開と社会への影響・効果―
    宮国 泰史, 東江 あやか, 中村 元紀, 福本 晃造, 岩切 宏友, 杉尾 幸司, 前野 昌弘, 濱田 栄作
    セッションID: 57
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本報告では、琉球大学が実施する次世代人材育成事業を中心とした取り組みや実践を紹介する。琉球大学では、初期層導入として啓発的科学教育活動を展開するとともに、本格育成層として小学校5年生から高校3年生までを対象とした小中高一体型の科学探究プログラムを実施している。さらに、大学進学後も研究活動支援を継続する体制を整備し、関連する企画群や支援インフラ,一部の社会実装までを含む多層的な育成体制を構築している.本事業群は,プログラムによる直接的な効果や成果だけでなく,理系進路においけるジェンダーギャップ緩和,児童・生徒の科学キャリア意識の定着,地域の全体的なSTEAM教育力や科学技術教育能力の向上,社会実装型の教育展開などの波及効果を生んでいることが推定され,こうした大学主導の多段階育成は,国立大学の新たな教育研究機能の拡張としての意義を有していると思われる.

  • 松田 みゆき, 山本 達之, 瀬戸 和希
    セッションID: 85
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    島根県は中山間地域が多く,少子高齢化,人口減少が進み,社会・経済の縮小,ひいては地域の活力・魅力の衰退が懸念されている.島根県のこうした状況は他地域の将来の課題を示している.「VUCAの時代」と称されるように急速な技術革新やグローバル化の進展が将来予測を困難にしている時代において,島根県唯一の国立大学である島根大学の使命は,持続可能な社会構築を目指して,将来のイノベーションを担う科学技術人材を発掘・育成することである.島根県の高校生と家族への調査研究によると,従来の価値観から脱却し地元に根差した新たな価値の創造のための新たな視点が「地方」を論じるために必要とされる.我々は,島根大学GSC事業の受講生(高校生)の実例から,この視点について考察し,自ら考え身近なリソースを活用しながら価値を創造できる人材を発掘・育成することの重要性を再確認した.本稿では,島根大学GSCの取組の工夫を紹介する.

  • 長沼 祥太郎, 小島 健太郎, 田中 將己, 深瀬 信也
    セッションID: 87
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    2014 年より始まった九州大学未来創成科学者育成プロジェクト(QFC-SP)は,3 ヶ月のQFC プライマリーと11ヶ月のQFCリサーチの2段階からなるプログラムである.これまでにも多くの修了生を輩出してきた本プログラムは,現在,高大接続をより強化する方向に進んでいる.具体的には,2027年度に学部をまたいで新設される「次世代博士人材育成コース(定員約30名)」,および,そのコース生の選抜のために2026年には「次世代研究者発掘入試」との連携を計画している.そして,これらを見据え,2025年度からはQFC-SPの受講可能人数を拡大する方向である.本稿では,このようなQFC-SP のこれまでを振り返り,その後,現在進行中の新たな取り組みに関しての報告を行う.

  • ~広島大学STELLAプログラムコンソーシアムが目指す 持続可能な未来社会をけん引する次世代科学技術人材の育成~
    西堀 正英, 網本 貴一, 永田 純一, 中山 貴司, 砂原 徹, 伊藤 文香, 神垣 あかね, 三村 桂介, 鈴木 由美子
    セッションID: 84
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本STELLAプログラム(広島コンソーシアム)では,2015年より主に中国地方の高校生を対象に次世代科学人材養成として「出る杭を伸ばす」グローバルサイエンスキャンパス(GSC)を2期8年間実践してきた.2024年より広島コンソーシアムではグローバルな視点で地域の課題に取り組み,持続可能な未来社会をけん引する次世代の科学技術人材を早期育成するため,小・中・高一貫の教育プログラムを構築し,展開している.各Course実施前にはプレ教育として体験講座,セミナー等を実施している.全Courseでアントレプレナーシップ教育やグループワークを取り入れ,高い課題発見・解決力の育成や社会の課題解決を常に意識して他者と協働できる人材の育成も意図している点が企画の特徴である.受講生の選抜及び修了認定を公平かつ厳格に実施し,一方で非選抜者のフォローアップや学年進行に配慮した受講機会の提供等,柔軟で個別最適な学びを提供する独創的なプログラムを実践している.

  • 加藤 晶, 向 平和, 高橋 亮治, 前原 常弘, 宇野 英満
    セッションID: 44
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    愛媛大学では全学組織である次世代人材育成拠点を中心に,国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)による多くの事業助成を通じた様々な科学教育事業を実施している. 中でもJST事業「四国型次世代科学技術チャレンジプログラム(SHIN-GS)」では, 愛媛大学単独ではなく四国各大学と連携し四国が一体となって課題解決ができる人材を育成することを目標に掲げ事業を展開している. 四国地域が抱える課題は山積しており,地域課題が複雑化する中で,各県,各大学が個別に問題に取り組むのではなく,四国地域が一体となって連携することが強く求められている. そこで本事業では四国各国立大学に参画を呼びかけ,令和7年度に新たな四国の枠組みを設けた. 本発表では本枠組みにおける愛媛大学の役割や四国型次世代人材育成事業の可能性について事例を取り上げ紹介する.

  • 跡見 順子
    セッションID: 233
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    日本は世界に先駆けて超高齢社会を迎え,健康寿命の延伸と「よりよく生きる」ための科学的知見の必要性が高まっている.筆者は,細胞のメカニカルストレス応答に関与する鍵分子αB-クリスタリンの研究を通して,人間の立位保持や運動制御と細胞レベルの生存戦略との関係に注目し,細胞の力学的応答と人間の姿勢・動作の協調に着目し,身心の安定に向けた実践法「臥位身心調律運動」を得た.この運動は,立位で歪んだ身心を臥位で調律し,筋の緊張の解放と血流の促進を通じて,脳―身体間の神経回路を再構築する試みである., 「身心一体科学」は,人間の身体性を再評価し,日本の身体文化と結びつけながら,人間の身心を一体的に捉え科学的知見と実践を融合する新たな枠組みを示すものであり,Well-beingの起点としての「身心一体科学」は,今後の教育・医療・社会における基盤形成に貢献すると期待される.その個人的な探究の同定について紹介する.

  • 東 芳一, 棚橋 沙由理, 山本 真紀, 下郡 啓夫, 大戸-藤田 恵理, 跡見 綾, 清水 美穂, 跡見 順子, 渡邊 敏行
    セッションID: 101
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本研究は,身心一体科学の高校生年代への教育を研究したものである.2024年に高等専門学校1年生を対象に出張授業として実施した身心一体科学の授業について,その内容の理解状況を求め,学習効果を検証した.選択式・記述式アンケートを実施した結果,理解度は有意に向上し,生徒は運動を生活に取り入れる意向を示した.更に異なる地域の別の高校で2015年に同様に実施した授業結果との比較を行い,授業前後とも理解度に大きな差はないことが確認されたことで,本プログラムの普遍的な有効性が示唆された.また,身心一体科学のキーワードの使用を学習指導要領解説の理科と保健体育で分析した結果,細胞は理科に限定され,運動と健康は保健体育で扱われることが明らかとなった.これらの結果より,身心一体科学は,科目の枠を超えて理科と保健体育をつなぎ,Well-beingに貢献する学問分野であることを示すものとなった.

  • ー大森(1994)の「略画」と「密画」をつなぐ視点として―
    坂倉 真衣
    セッションID: 109
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本発表では,大森(1994)の「略画/密画」の概念をもとに,教員養成課程における理科教育に「身心一体科学」(跡見2024)の視点を導入する意義と可能性を検討する.学生が科学概念を日常的身体感覚と結び付けて理解する過程を,エピソード記述に基づき分析した.バナナのDNA抽出や呼吸のしくみについての授業を通して,学生が「食べる」「深呼吸する」といった行為を手がかりに略画的理解と密画的理解を往還していく様子が見られた.身心一体的アプローチは,概念の深い定着や包摂的な学び,教員の再学習の契機として有効である可能性が示唆された.今後はこの視点を軸にした初等教育教員養成課程における体系的なカリキュラム設計が求められる.

  • 〜「生と死」に関するオブジェクトを用いた学びを通じて〜
    棚橋 沙由理, 清水 美穂, 跡見 順子
    セッションID: 180
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    現代社会はあまたの困難に直面しており,人びとの身体と心の安全の脅かされる事態がますます深刻化している.このような時局だからこそ,「生と死」にまつわるあらゆるトピックについて,さまざまなボーダーを超えて学びを広く活性化させる必要があるのではないだろうか.しかしながら,機微に触れるセンシティブなトピックであることもあり,学びの設計・実施に関する知見が豊富に蓄積されてきたとはいいがたいのが現状である.本発表では,「生と死」に関するオブジェクトの学びを通じて,人間の尊厳について考えさせるイギリスの⁠⁠⁠⁠⁠大学博物館の授業事例を参照しながら,博物館教育の身心一体科学への貢献について検討していく.

  • 有賀 三夏, 下郡 啓夫
    セッションID: 261
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    現代社会では身体と心の調和を取り戻し,持続可能なウェルビーイングを実現する教育アプローチが求められている.本研究では,跡見順子教授が提唱する「身心一体科学」と「芸術思考」の統合的アプローチの可能性について,先行研究を踏まえて理論的考察を行った.身心一体科学の体軸制御調律運動による細胞レベルでの活性化効果と,芸術思考の創造プロセスにおける共感的理解の促進効果を組み合わせることで,多重知能の活性化と探究力の向上が期待される.この統合的手法は,AIには代替できない人間固有の身体性と創造性を育む教育的基盤として機能すると考えられる.統合ワークショップの設計提案を通じて,日本発のウェルビーイング教育モデルの構築可能性を示した.今後の実証研究により,その教育的効果の科学的検証を目指す.

  • 下郡 啓夫, 丹﨑 真由子
    セッションID: 260
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本研究は,跡見の身心一体科学理論に基づくホスピタルアート教育カリキュラムの理論的構築を目的とする.身心一体科学では,細胞の活動依存性とメカニカルストレス応答による身心統合メカニズムが実証されている.この知見から,体軸制御調律運動とセルフタッチング技法が「細胞-身体-脳神経系」の段階的変化を通じて,創作者の認知・情動・行動レベルに影響をもたらすという理論的仮説を構築する.さらに,この身心統合プロセスがウェルビーイング・コンピテンシーの段階的獲得過程(I→WE→SOCIETY/UNIVERSE)と対応し,パステルアート制作との相乗効果により利他的創造活動が内発的に発現することを論証する.従来の技術習得中心のアート教育に対し,科学的エビデンスに基づく身心統合型教育の理論的優位性を示し,検証可能な教育モデルを提案する.

  • 大島 まり
    セッションID: 266
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本課題研究では,「身心一体科学を基盤とした持続可能なウェルビーイング教育の構築」を討論テーマとして取り上げる.身心一体科学は,人間の細胞レベルから身体技法,心の働きまでを包括的に捉える科学体系である.一方,日本の伝統文化に根ざした身体技の細胞や脳へ働きかけを通して,健康増進に結びつけることから,多岐な分野にわたる学際的な研究分野である.新しい分野であり,教育としても非常にチャレンジングな分野といえる.指定討論では,教科等横断であるSTEAM 教育を軸に,現行の学習指導要領を見据えて,「総合的な探究の時間」,あるいは「理数探究基礎」や「理数探究」等の探究学習を活用したSTEAM 型探究学習として,身体の心の調和のもと実践を通して,個人の内的調和と社会的つながりを育む教育の可能性を探る.

  • -あるベテラン教師の事例研究-
    清水 美憲
    セッションID: 240
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本研究は,教育課程の移行期にある学校数学について,「意図」,「実施」,「達成」のカリキュラムの三層がいかに関連し合いながら機能するかについて実証的に解明することを目的としている.本稿では,この三層のモデルに対し,改訂された学習指導要領の趣旨を教師がどのように捉えて授業を設計,実施するかについての事例分析を通して,「意図」と「実施」を媒介する教師による「知覚されたカリキュラム」の実際を分析する.そのために,学習指導要領の改訂に伴って内容領域の移行があった図形領域に焦点化し,小学校第5学年の授業授業を実施した指導経験の豊富な教師による「意図」の解釈を分析した.分析の結果,教師が自ら担当する教室の児童を想定しつつ「意図」を解釈し,必要に応じて固有の意味を特定しながら授業を実施する様子が顕在化した.

  • 宮崎 樹夫, 木村 百合子, 清水 美憲
    セッションID: 246
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本研究は,国から地域への意図されたカリキュラム・アラインメントの機能特定を目的とする.中学校数学科の学習指導要領2019年度改訂プロセスに注目し.各教科等担当指導主事連絡協議会と各教科等教育課程研究協議会の資料のテキスト分析により,国から地域への意図されたカリキュラム・アラインメントとして二つの機能を特定した;カリキュラムの受容素地を培う機能,カリキュラムの受容を強化する機能.

  • 影山 和也
    セッションID: 248
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本稿は,多元分析アプローチのうち「語」に着目し,意図されたカリキュラム(学習指導要領解説等)と実施されたカリキュラム(授業・教師資料等)とのアラインメントを検証する。2023年9月に実施された算数科授業「図形の面積」を対象に,教師の事前検討資料・学習指導案・授業中の発話・事後協議資料をテキスト分析し,語「統合」の使用傾向を分析した。その結果,「統合」は事前資料では意図的に活用され,目標や考察の枠組みとして位置づけられていた一方,授業中の発話には直接現れず,むしろ論理的思考の強調が見られた。その反面,事後協議では授業者による「統合的に捉えていく力」への意識が再確認された。以上から,語の使用やパラフレーズの扱いを通じて,カリキュラムのアラインメントは必ずしも安定して維持されるものではなく,教師の本来の意図や実際の実践によっては,その教師および授業なりの調整が働いていることが示唆された。

  • -アンケートの分析を通して-
    清野 辰彦
    セッションID: 251
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本研究の目的は,学校数学のカリキュラムアラインメントにおいて,授業研究が具体的にどのような役割を果たしているのを明らかにすることである.そのために,校内研究での算数科の授業研究に,1年から3年に渡って参画している教員・校長・副校長に対し,アンケートを行い,そのデータを分析する.分析の結果,授業研究には,学習指導要領などの「意図されたカリキュラム」の記述を子どもの姿と結びつけ,その意味の理解を深める役割があることがわかった.また,授業研究には,授業中における子どもたち一人一人の「達成されたカリキュラム」をみとる教師の力量形成に貢献する役割があることがわかった.

  • 清水 宏幸, 川添 充, 岩田 耕司, 西村 圭一, 清水 美憲
    セッションID: 263
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本研究の目的は,カリキュラム・アラインメントの視点から,全国学力・学習状況調査(以後,全国調査)の結果に基づいて授業改善を図る取組を検討することである.本稿では,全国調査を「達成」を測る1 つの評価と捉え,その結果に基づいて「実施」つまり教室レベルでの指導へのフィードバックを試みる事例として,山梨教育委員会・県総合教育センターと山梨大学との連携事業の事例について,成果と課題を明らかにする.分析結果に基づく授業改善では,問題解決の方法の説明の記述を洗練する活動を取り入れた.これは,「達成」の視点から「実施」の改善を図る取組である.問題解決の方法の説明をどこまで生徒に求めるかなどを検討することが課題であり,これは,「達成」から「意図」への提案を可能にする取組であることを指摘する.

  • -公開授業研究会の実践と分析から-
    西村 圭一
    セッションID: 254
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本研究の目的は,高等学校数学科における「知覚された(perceived)カリキュラム」に焦点を当て,授業研究がそれに影響をどう及ぼしうるかを事例的に明らかにすることである.この目的に対して,東京都内の高等学校で実施した公開授業研究会において,参加者が事前の指導案検討会や当日の研究授業・協議会を経て学んだことをアンケート記述から分析した.その結果,授業研究が「知覚されたカリキュラム」の変容を促進し、「意図されたカリキュラム」と「実施されたカリキュラム」とのアラインメント形成に資する可能性が示唆された.

  • 小林 廉
    セッションID: 264
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本研究の目的は,平成29年・30年告示の学校学習指導要領において新たに位置づいた「数学的な見方・考え方」を数学教師がどのように捉えるのか,それを意識して授業に臨むことの意義や困難さは何であるのか,その一端を明らかにすることである.これは,学校数学カリキュラムのアラインメントの観点からは,「数学的な見方・考え方」からみた「実施」の層の様相を明らかにすることに当たる.そのために,「数学的な見方・考え方」を言語化して研究授業に臨むことになった稀少な経験を有する数学教師Tにインタビュー調査を行った.結果として,「他の単元と共通する,数学全体として大事な考え方」として「数学的な見方・考え方」を捉えることが「目前の問題を解けるようになるため」の授業から「目前の問題を解くことを通して」の授業への変容を促す一方で,「数学的な見方・考え方」をどの「程度」で捉えるかに困難さがあることが明らかとなった.

  • 小学校4年生の事例から
    川上 貴, 佐伯 昭彦
    セッションID: 3
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本稿の目的は,データに基づく数学的モデリングによる教科連携型(interdisciplinary)アプローチの様相を明らかにすることである.そのために,データに基づく数学的モデリングが含まれ,STEM分野のモデル間の往還が示されている,学際的な「データ駆動型モデリング(DDM)」の活動を記述,分析する枠組みを用いて,4年生の事例を分析した.その結果,学習者が,数学(M)を始めとするSTEMの学問領域(教科)の特質を反映したモデルを柔軟に構成し有機的に関連づけながら,学年段階に合った学際性を発揮することが明らかとなった.

  • 藤原 大樹
    セッションID: 112
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本研究では,中学校数学科において,2量の関係からインフォ-マルに未知の値やその範囲を予測する統計的モデリングでのモデルの生成,選択の様相を決定論性に着目して明らかにし,指導・カリキュラム設計への示唆を得ることを目的とする.その結果,次の様相が明らかになった.①非決定論的なモデルの生成,選択は,2量の関係をある関数とみなす経験が多く,関数と統計の学習直後に取り組むと促進されやすい可能性がある.②非決定論的なモデルを含めた多様なモデルの長所短所の理解が,非決定論的なモデルのよさの感得につながり,非決定論的なモデルの選択に影響する可能性が高い.また,多様なモデルを比較検討する機会の設定,2量の関係をある関数とみなす学習の毎学年での充実,関数と統計・確率の両単元の隣接指導の必要性が示唆される.

  • 雲財 寛
    セッションID: 111
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
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    本研究は,日本の小学校理科におけるモデリングの実践研究をレビューし,近年の動向と課題を明らかにすることを目的とした。この目的を達成するために,小学校理科でモデリングを取り入れた実践研究を対象としたスコーピングレビューを実施した。その結果,適格基準を満たした論文は全部で12件であった。近年の動向として,概念形成を目的とした研究が多く行われていることなどを導出した。また,課題として,モデリングコンピテンシーの育成を目的とした研究を行っていく必要があること,単元を超えたモデリングの授業実践を蓄積していく必要があることを指摘した。

  • エネルギー領域「光の性質」の単元を例に
    佐久間 直也, 中村 大輝
    セッションID: 110
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は,中学校理科第1学年の単元「光の性質」において,学習者がモデルを「構築」「評価」「適用」「再構築」する4段階の継続的なモデルベース学習(MBL)を設計・実践し,その効果を多角的に検討することを目的とした.具体的には,(1)科学的モデルの性質に関する理解(メタモデリング知識),(2)モデリング能力の獲得プロセス,(3)単元内容(凸レンズによる像)の概念理解,(4)獲得したモデリング能力の転移について,4 つのリサーチクエスチョン(RQ)を設定し,質問紙調査,記述分析,概念理解問題及び転移課題を用いて評価した.その結果,メタモデリング知識の一部項目と単元内容の概念理解において肯定的な変容が見られた.また,授業実践を通して学習者は単純な描写モデルから説明的なモデルへとより洗練させていくプロセスが確認された.さらに,学習文脈と類似性の低い遠転移課題においてもモデリング実践能力が部分的に発揮されることが示された.

  • ―国立教育政策研究所プロジェクト研究の研究成果からー
    松原 憲治
    セッションID: 174
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    本稿では,国立教育政策研究所のプロジェクト研究「新たな学びの実現に向けた教育課程の在り方に関する研究」の一環として実施した,科学教育領域における探究の在り方に関する基礎的研究の成果の一部を紹介する.STEAMを構成する教科・領域における探究的な活動では,それらの主要な学習過程(探究の過程)の各段階(phase)について一定程度の類似性が認められた.本研究では,それらを「課題や問いの設定」,「モデルの作成」,「モデルの検証」,「行動」の探究的な活動の主要素として整理した.モデルの作成とモデルの検証については,教科等の特質を基にしており,それは各教科・領域における固有の課題解決の手法と言える.

  • 奥山 英登
    セッションID: 69
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    本稿では,日本列島における生物/文化の多様性と知識体系の多層性を踏まえ,日本の科学教育における「先住民族アイヌの知識」の位置づけを再検討した.アイヌ民族の伝承を西洋科学の視点から類比・対比することで,科学教育に先住民族の知識をより具体的な活用のあり方を議論する.

  • 山川 結衣, 加納 圭
    セッションID: 208
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    沖縄には,日本の他の地域とは地理的に異なる独特の自然と文化がある.歴史的な観点から見ると,沖縄はかつて琉球王国であり,科学に関連する固有の知識がたくさんあった.しかし,学校教育の中で琉球王国をルーツとした知識を盛り込もうとすると,カリキュラム上教育プログラムをつくることの難しさがあり,まだ課題があると言えるだろう.沖縄のよりよい理科教育のために,琉球王国をルーツとするの固有知識の文脈におけるCREの導入について議論する.

  • 加納 圭
    セッションID: 179
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    日本が西洋技術を取り入れてきた歴史や考え方をみていくとともに,日本人の自然観と西洋科学との共通点や相違点をみていく.その上で,日本人の自然観と西洋科学との融合について考えていく.鉄砲,解剖学,電信機,蒸気船・蒸気機関車といった西洋技術を取り入れてきた歴史を振り返るとともに,「和魂洋才」を紹介する.次に,いずれも経験に基づいており,観察,パターン探し,推論,予測,検証などの知的プロセスを共有していることといった日本人の自然観と西洋科学との共通点を確認する.そして,日本人の自然観では,物事をホリスティックに捉えること,人間と自然とを調和的に捉えること,主体と客体を区別しない,人工と自然の区別が曖昧であること,自然は無常であることと捉えるなど,西洋科学との相違点も確認する.最終的に,科学教育においても,日本人の自然観をどのように取り扱ってカリキュラムに入れ込んでいくのかについて考えていく必要性を指摘する.

  • 小幡 哲士, 松島 紬, 小河 優祐, 三木 信哉
    セッションID: 106
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    本稿は,日本の伝統知識neo-Indigenous ways of knowing natureとSTEAM教育の親和性の高さが示唆される中で,STEAM教育に加えてさらに主体的な学びである「ものづくり」を統合して日本の伝統知識を教材化する一例として,NHK for Schoolの教育番組「ツクランカー」のプロセスを確認し,その教育的有用性を考察するものである.番組では,子どもたちが「染め物」や「からくり」などを題材に,伝統文化を学びながら主体的で創造的なものづくりに挑戦する.その過程では,文様作製における図形構成,pH調整の化学変化を利用した染色,設計と試行錯誤のプロセスなどを通じて,教科・領域に縛られない統合されたSTEAM教育の学びが自然に立ち現れていた.さらに,そこでは主体的な問題解決を伴う実践が描かれ,知識と技能が有機的に結びついていた.日本の伝統知識を軸として,主体的な学びとSTEAMの統合された学びの両輪が実現されうることが分かった.

  • 辻 宏子, 江草 遼平, 北澤 武, 木村 優里, 森田 裕介
    セッションID: 74
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は,小学校において育成が期待される「プログラミング的思考」について,1)計算論的思考(Computational Thinking)に関する先行研究の考察をもとにその定義を見直すこと,これに基づき,2)小学校における教科等横断的学習の設計に対し「プログラミング的思考」を軸とすることの意義について,検討する.その結果,小学校における「プログラミング的思考」は計算論的思考の発達前段階(Proto-Computational Thinking)として位置づけることの妥当性,プログラミング的思考を軸とした教科横断的学習は,教科の学びの充実とともに,各教科の資質・能力を密接に関係づける可能性があり,意義ある学習になると結論付けられた.

  • ー生活科×図画工作科×算数科題材「立体地図」を事例にー
    手塚 千尋, 辻 宏子, 青山 和裕
    セッションID: 192
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は,教科横断的な学習を,各教科の「断片的な知」を「連続した知」として獲得されることをめざす活動としてとらえ,各領域の内容や領域固有の資質・能力の関連付けや横断の方略を明らかにすることを目的にはじめられた.生活科・図画工作科・算数科に共通する「具体的操作」を主軸として展開された「形に注目をする」活動では,図画工作科:「自分なりの」意味や価値を創出すること,算数科:論理的・統合的に捉えるという学習論の相違が,学習過程のデザインにおける認識論的ズレを確認するに至った.科学的思考とは異なるパラダイムで説明される芸術的思考を背景とした図画工作科の固有性を保持した教科間の接続の検討からは,学際的(Interdicipnary)方法論の限界と, 越境的(Transdisciplinary)教育実践として再編することの必要性が示唆された.

  • 北澤 武, 木村 優里, 江草 遼平, 辻 宏子, 森田 裕介
    セッションID: 103
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,プログラミングで正多角形を描画する方法を学んだ小学校中学年の児童7名を対象に,プログラミングで自由に描画する過程を分析した.その結果,すべての児童が既習した「前進」,「角度」,「繰り返し」のブロックを使って,星型,直線や正方形の回転,正八角形,正四十五角形,卍や回を描画した.また,星型の描画ははじめに挑戦する児童が3名存在したが,すべての児童が外角を何度にすればよいかが分からず,他の描画に切り替えることが明らかになった.

  • -公立小学校への導入5年目の事例をもとに-
    木村 優里, 辻 宏子, 森田 裕介
    セッションID: 113
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    本稿の目的は,STEAM教育を導入してから5年目となる公立小学校の事例をもとに,導入段階から継続段階への移行の様子と,そこで新たに生じた課題や対応の報告である.主な課題として,教材準備に関する教員の負担増や,全校教員の当事者意識の醸成,教員の異動を見据えた体制構築等の課題が示された.これらの課題に対し,児童自身が教材を準備する仕組みや,教員間の定期的な情報共有等による課題解消が目指されていた.

  • :大学での取り組みから小大連携への発展に向けて
    江草 遼平, 木村 優里, 辻 宏子
    セッションID: 119
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,STEAM教育実践者の養成と小大連携を狙いとして大学生を対象としたシリアスゲーム開発型STEAM教育実践について報告する. 大学におけるSTEAM教育実践としては, 複雑な背景を持つ社会的課題に関する探求と課題解決のプロセスについてゲーム開発を通じて行うものであり, 教科横断的な学びや実践的なプログラミング学習が導入される. 開発されたゲームは議論とシミュレーションを通じて社会課題解決のプロセスを擬似的に体験する設計となっており, 小学校におけるSTEAM教育教材としての可能性を持つ. 今後の展望として, より小学校との連携を深め, 小学生との協働によるゲーム改善プロセスを通じた大学・小学校連携STEAM教育実践の構築を検討する.

  • -中学校理科「力の大きさとばねののびの関係」を例に-
    佐竹 靖, 西仲 則博
    セッションID: 118
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は,教職課程の理科教育法において,観察・実験を伴う授業構想力や実践力を育成する学修プログラムの開発を目的としている.本報告では,中学校理科「力の大きさとばねののびの関係」を題材に,実験結果の処理場面の指導に焦点を当てた学修プログラムを開発し,その効果を検証した.本プログラムは,教科内容の理解,学生実験,マンガケースメソッド教材(佐竹・西仲,2024を改良)で構成される.実践の結果,対象学生は実験や誤差の統計的処理に関する理解や経験が不足し,曖昧な納得感を持つ者が多いことが明らかとなった.一方,マンガケースメソッド教材は具体的な授業場面の想像を促し,学生実験は指導のポイントや誤差原因の明確化に有効であった.また,本プログラムは対象とする単元の授業構想の具体化だけでなく,授業中に予想外の事象が起こる可能性や,他の学習内容でも同様の課題が生じ得ることへの気づきを促す効果も示唆された.

  • 西仲 則博, 佐竹 靖
    セッションID: 207
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は,次世代の数学教師を志望する大学生がピアソンの相関係数に関する推移性の誤概念をどの程度有しているかを明らかにし,今後の教師教育に資する教材開発の基礎資料を得ることを目的とした.K大学の学生71名を対象にWebアンケート調査を実施し,文脈的・数学的表現による2種類の推移性問題への反応を分析した.その結果,いずれの問題においても67.6%の学生が誤答を選択しており,推移性の誤概念が広く存在していることが示された.また,正答・誤答のいずれにおいても自信度は低く,知識の不確かさがうかがえた.これらの結果は,既存研究(Sotosら, 2009)と整合的であり,相関の推移性に関する誤解が初等教育の段階から適切に指導されていない可能性を示唆する.本研究の知見は,相関係数の意味理解を深めるための教材設計に有用な示唆を与える.

  • 藤井 良宜
    セッションID: 108
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    インターネットやSNSの普及によって、真偽がはっきりしない情報が増え続けている。そのような社会の中では、根拠に基づいて論理的に思考を進めていく能力の必要性が高まっている。本稿では、統計的な推理力に着目し、その育成の重要性について考察する。

  • ~教師からの働きかけの場面に注目して~
    青山 和裕, 吉川 厚
    セッションID: 231
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    本研究においては,授業において教師が働きかけた場面に注目し,主観的観察によりその働きかけが生徒に有効であったかどうかを判断しつつ,Tobii Pro Glass 3による瞳孔計測のログデータにより装着者の生徒に反応が見られたかどうかを照合し,教師の働きかけが有効であったどうかを分析した。結果として,主観的観察とログデータとの一致率については概ね80%近くであり,デバイスによるモニタリングがある程度可能であることが窺えた。また,一致しないケースについても教師にとって見落としがちな生徒の状態に関する有益なフィードバックとして生かすことができることが窺えた。

  • 小口 祐一, 安井 悠人
    セッションID: 27
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/16
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は,数学B「統計的な推測」を学習する高校生を対象に,シミュレーションに基づく統計的推測の教授学習過程を設計し,その教授学習過程における生徒の様相を明らかにすることである.研究の方法として,シミュレーションを行う前の標本分布の予想と,行った後の実際の標本分布を比較する活動を取り入れた.また,情意的評定と統計的推論の事前・事後調査を実施し,設計した教授学習過程の効果を検証した.研究の結果として,設計した教授学習過程の実施後に,生徒には,標本分布の特徴に関する判断において,適切な理由の記述が増加した.また,生徒の統計に対する態度について,「認知コンピテンシー」の構成概念で肯定的な評定値が上昇した.一方, 「努力」の構成概念では,肯定的な評定値が下降した.これらの結果から,シミュレーションに基づく統計的推測の教授学習過程は,標本分布の特徴を理解するために,一定の効果があると考えられた.

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