抄録
科学は、先人たちによってつくられた厳密で体系化された知識というだけでなく、何らかの物理的、あるいは、社会的なモノを媒体として、たえず再構成される社会的な実践でもある。科学を学ぶということは、その実践に参加し科学にかかわり合っていくことである。科学の授業とは、単に学校、教室という特殊な場所だけで、限られた人たちだけで、特別な時間にだけ行われる行為ではなく、むしろ、立場を越え、境界を越え、より広い社会とのかかわり合いをつくる活動的な行為である。筆者はこれを"サイエンスネットワーク"と呼ぶ。学校の科学の授業、物理の授業での教師の役割は、"サイエンスネットワーク"が実現するような物理的、社会的な学習環境をデザインすることである。