本研究では、細胞骨格という新たな教材を高校生物の授業にとり入れることの教育的効果について考察し、その導入方法を検討した。細胞骨格の教材としての有用性について知るために、細胞の学習に関する生徒の意識調査と生物教科書の持つ問題点の検討を行った。その結果、教科書だけの学習では、細胞の動的姿を認識させることは困難であることがわかった。そして、細胞小器官を相互に結び付け、細胞周期に伴って劇的に変化する「細胞骨格」の授業への導入は、細胞についての興味を喚起し、正しい細胞観や生命観を抱かせるのに有効であることが示唆された。また、導入の方法については、資料学習として取り入れたり、特殊染色によるアクチン繊維の光学顕微鏡による観察が可能である。