抄録
本稿の目的は、フロイデンタールの数学教授論における"re-invention"の概念の変化の様相を探り、その変化の意味を明らかにすることである。そこで、1960年代前半と1970年代の彼のドイツ語文献における"re-invention"の対応語の"Wiederentdeckung"から"Nacherfindung"への変化と、彼の数学教授論における数学史の位置づけの変化に着目した。"re-invention"の概念の変化には、生徒が数学を発明しうるように、数学史における順序で数学が教授されるべきこと、つまり、数学史に定位された教授の実現の意図を鮮明に表現するという意味があることが明らかになった。