抄録
本研究では,適性処遇交互作用の考えに基づいて,情報共有のための発言可動式電子掲示板の有効性について検討した.発言可動式電子掲示板の有効性の比較対象としては,広く使用されている発言順次型電子掲示板を使用した.議論テーマとしては提案型課題と評論型課題の2種類について比較した.その結果,評論型課題の場合は,発言可動式電子掲示板を使用した方が発言内容の種類が顕著に多くなる傾向が見られ,質問紙調査より,他者の発言内容ごとに分類したり統合したりしながら思考する傾向が見られた.一方,提案型課題の場合も,発言内容ごとに分類したり統合したりしながら思考する傾向が見られたが,発言内容の種類の増加にはつながらなかった.すなわち,発言可動式電子掲示板は,評論型課題について議論する際には大変有効なツールであるが,提案型課題を行う際には必ずしもそうとは限らないことが示唆された.