抄録
本研究における第1期から第4期の科学技術基本計画の分析から,科学技術政策における国民の位置付けは,計画が更新されるごとに高まっており,現在遂行中の第4期科学技術基本計画では,国民は科学技術政策の企画立案及び推進に参画する主体として位置付けられていること,さらに,参画にあたっては,科学技術の成果及び便益を享受するための要望や意見を伝えるだけではなく,科学技術の可能性と条件や倫理面への配慮も求められていることがあきらかになった。また,近年の中等教育の学習指導要領解説理科編には,科学技術の負の側面や科学の暫定性といった広義の科学論的な内容や,科学技術政策への国民の参画の視点が窺える記載が見られた。