シンガポールの高大接続の特徴と女性のSTEM専攻

学生・卒業生・大学教員へのインタビュー調査から

抄録

本研究では女性のSTEM専攻の観点からシンガポールの高大接続の特徴を検討する．方法としてシンガポールの学生，卒業生，大学教員へインタビュー調査を行い，当地の高大接続と女性のSTEM専攻の関連を仮説生成的に分析する．結果，以下がわかった．大学前教育や大学教育ではSTEM専攻が定員としても多く，高い価値が置かれている.有名大学入学には高い成績が必要だが，必要科目数は日本より少ない傾向がある．STEM科目の高い成績が大学でのSTEM専攻，そして卒業後の職業獲得につながるという道筋が比較的明確である．この道筋や価値観は周囲から学生に明示的・暗示的に示されることがある．比較的早い段階で科目が細分化するため，学生は各科目への好みや得意・不得意を自覚しやすい．これらの点の男女差はインタビューでは確認できず，このような特徴が日本より多い女性のSTEM専攻につながっている可能性が示唆された．