抄録
生徒の創造性は, 意欲より事象への興味関心に関係があること, 問題事象を経験事象と結びつけ疑問点を解決しながら思考していること, 「工夫する」ことを先に思考することによってきまりへの気づきが増加すること, 「しくみや変化をとらえる探究」や「自然事象・実験事象」で独創的な回答が増える傾向が確認できた.探究を「現象」「しくみ」「新たな変化」と段階的に設定することで探究から創造性をとらえることの可能性が示唆された.実験観察の方法を考え工夫することから始める探究を体験させ, 知的好奇心を喚起する事象を提示し, 独創性に着目することが, 理科学習の活性化, 創造性の育成につながる.創造活動を授業の中で実現するには, 創発性をねらう教材と創出性をねらう活動の場の設定のありかたが重要である.