抄録
技術・家庭科の変遷過程で技術科教育の中に科学教育がどのように位置づけられたかを検討した。技術科教育の初期段階、特に昭和44年改訂では、技術科教育の目標に科学教育が明確に位置づけられていた。しかし、その後の改訂で目標から削除され、科学教育の位置づけが曖昧になった。そこで、今日研究的な技術科の授業実践の主要な授業過程を示し、そこに、帰納と演繹と検証という科学的方法が含まれていることを指摘した。しかし、それは理科教育や自然科学の対象及び検証方法である実験法とは違ったものである。技術科教育では人間がもつ実践的な目的を達成するために、一定の機能を実現するように構成したシステムが対象であり、方法は対象とするシステムが目的の機能をよりよく実現していることを検証する試験法である。このように、技術科教育であってこそ、真に社会の変化に対応し、応用可能な技術能力を形成することができることを示した。