日本科学教育学会研究会研究報告
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主題研究発表
非連続な科学的発達の総合的学習による支援の可能性
平田 昭雄
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2000 年 14 巻 6 号 p. 39-44

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抄録
人の科学的発達の過程においてはある種極めて劇的で非連続な認知的状態変化の局面が少なからず発生するが, そうした局面は科学的知識の獲得およびそこに至る科学的思考のプロセスにおいて現象と知識とが出合ったところに起こり得ると考えられる。'60-70年代に米国で開発された現代化理科カリキュラムの多くは, このようないわゆる科学的な探究の過程に関する分析に基づいて構成されたものだが, その内のとくにSCIS, SAPA, ESSは, そうした非連続な科学的発達をも想定したものであるという点で, ある種極めて実存主義的な教育観の反映したカリキュラムといえる。ところで, 今日の日本のいわゆる「総合的な学習」には, これまでの我が国のとりわけ公教育においては伝統的に支配的であった古典的すなわち陶冶主義的な教育観から俄に脱却し得るものとして, 相応に大きな期待が寄せられる。つまり, これまではその非連続性が故に扱いが困難とされてきた個々の学習者の科学的かつ創造的な認知発達をも本格的に支援し得るような場ないしは環境として位置づけられ, 具体化されるといった可能性が「総合的な学習の時間」には大いに見込まれる。
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© 2000 一般社団法人 日本科学教育学会
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