現在の教育課程では,「問題解決学習」や「学力」などが話題とされているが,これは,戦後の新教育でも強調されて実践されてきたものである。本研究は,戦後日本の新しい教育制度の下で,問題解決学習が実施された時期に行われた学力調査の内容と結果を分析することによって,当時の学力観を探り,現在の学力観を比較的に考察していくことを目的とした。その結果,実証的理解の不十分さ,論理的な思考による反応の少なさ,理論と日常生活との結びつきの不十分さが明らかになった。このことから,問題解決学習を活性化させるためには,「論理的思考を伴う観察・実験」と「学習内容と日常生活の関連化」の充実が肝心と思われる。