抄録
先般、家庭こそ理科教育の原点であると云う視点から「お茶の間宇宙教室の提唱」と題して、主として、真空と大気と希薄な大気の高山について議論した。今回は「街角宇宙教室の提唱」と標記して、重力・無重力、及び異なる重力の世界、並びに、星座学習に関して考察する。街には天と地がある。公園の遊具を糸口にして重力のある世界について検討する。更に、瞬間的に無重力状態を体感できるフリーフォールやバンジージャンプに触れる。加えて、宇宙の無重力の世界に関し略述する。また、重力の異なる他天体について記述する。本稿の後半では、夜空の星座に関し述べる。始めに、公民館の企画した夏休み星空教室について概説し、星座観測の極意を略述する。次に、市の小学校の理科教育の現状を調査研究して、現場の抱える今日的課題を浮き彫りにし、将来の望ましい学習形態を展望しようとする研究計画の大まかな輪郭を報告する。科学マジックを主とした体験教室などでびっくり(感動とも云える)実験学習が流行っている。ここでは近所の日頃の生活において五感で感じる感触と直結した学習を提言したい。肌で捉えた実感から体系的に展開される「自然の道理」を学ぶ理科を提唱する。例を掲げる。幼い頃にシーソーでバランスをとって遊んだ時に体感した感覚が、アルキメデスの梃子の原理を学習した時に鮮烈に呼び戻されるように、実感に沿って重力の科学を順序立てて勉強する。