抄録
野鳥観察を通して,「生きる力」を育成することはできないか,という試みである。そのために本研究室で開発された内部観察システムを利用し,野鳥の様子を 24 時間観察できるようにした上で,このシステムの有用性や改善点を調べた。野鳥が巣箱を利用し卵を温め始めるのを確認してから,自分で観察をすると同時に教育学部の学生にも巣箱を観察してもらった。そしてアンケートを実施し,この巣箱が「生きる力」を高めるためにどのような効果があるか,CS 分析を用いて調べた。結果として、巣箱の外からは見えないようなシーンを観察できることが分かり,それを見ることで,自分が野鳥について新たな発見をすることができそうであるという思いを感じることなどがわかった。改善点として,野鳥の姿を自分自身の生活に置き換えて考える要素が足りないということも分かった。今後はそういった野鳥観察にメタ認知的要素を取り入れる研究を進めていき,この巣箱の有用性を高めていきたい。