教員養成において,生物学分野での新しい課題を活用した問題解決能力涵養のための効果的な授業構築を目指した.解答が一つに限定されない課題を最新の研究論文や学会発表などから活用し,小学校教員養成課程(理科選修)の学生へ,授業を三回実施した.学生の達成度は 4 段階で評価し,授業効果の推移を追跡した.内容は,予想と異なる結果となる唾液によるデンプン消化実験,簡易手作り顕微鏡で動く原生生物を観察する工夫をする実験,植物の根から色水を吸収させる実験では根の傷口から浸み込んでいることを指摘した研究報告を用いたものの 3 つである.その結果,学生は自ら考えを深めることができ,学生の問題解決能力向上について一定の効果が見られるとともに,授業への学生の感想から,問題解決型学習の大切さや楽しさが認識されていた.今後はより長期にわたる学習設定での効果検証が必要であるとともに,課題の素材は最新情報である必要性が考えられた.