2014 年 29 巻 5 号 p. 21-24
本研究では,小学校現行学習指導要領(理科編)で扱われている問題解決能力の一部として位置付けられている「推論(resoning)」に着眼した。この推論の能力を理科学習において習得させようとするとき,その成立過程の検討が不可欠である。しかし,筆者らが知る限り,科学的な推論の成立過程や要因についての詳細な研究は少ない。そこで,本研究では,この科学的な推論の成立過程について教授・学習論の立場から検討を行うことを目的とした。まず,思考活動の一部である科学的な推論を可視化する方法として和田ら(2010)が開発した,表象ネットワークモデルを用いる。この表象ネットワークモデルと Tytler(2013)が示す「表象を通じた推論の成立過程」のモデルと合わせて分析することで,科学的な推論の内実を明らかにした。その上で,科学的な推論を促進する為の教授法についても検討した。