2014 年 29 巻 5 号 p. 25-30
本研究では,物理教育における課題を教科書分析によって顕在化していく。物理ではグラフや図,写真などの外部リソースを用いて思考していく。そこで,外部リソースが思考に及ぼす影響について考察していく。具体的には,和田らの提起する表象ネットワークモデルを援用し,高等学校物理基礎の教科書に示された外部リソースが表象ネットワークモデルに及ぼす影響について分析を行い,表象変換の課題を顕在化した。結果として,外部リソースを読み取る視点によって,表象変換が異なること,表象と外部リソースを相互作用させることによって,より有機的に変換が促されることが明らかとなった。これらは教授方略の検討には有益な視点になると考えられる。