2014 年 29 巻 9 号 p. 53-58
本稿では,「社会的文脈」を長崎の研究を中心にまとめ,「社会的文脈」を契機として問題解決学習をおこなう国内の教材を考察したが,それらは,数学と社会の関連を感じるために有用であるものの,そこでの問題解決方法は限定的であった.一方,海外の「Bowland Maths.」と「iNZight and VIT」では,社会的文脈のなかで,問題解決に用いる数学的な手法や判断基準を生徒に選択させていた.日本の教育現場で実践可能な「社会的な事象の探究」を目指した「データの分析」の教材を開発することが今後の課題である.