1988 年 3 巻 3 号 p. 17-21
酵素は、生命現象を理解する上で重要な位置を占める学習内容であり、その特性を理解するためのさまざまな実験が教材化されている。しかし、酵素反応の速度と基質濃度および酵素濃度との関係を調べる実験は、まだ教材化されていない。本研究では、酵素反応の速度と基質濃度の関係を、酵素ウレアーゼにより触媒される尿素の分解反応を題材として、電流値の変化速度を測定する方法によって調べることの可能性を検討し、その教材化を試みた。その結果、尿素の分解反応については、その反応速度を電流値の変化速度で調べることが可能であることがわかった。この実験方法は、さらに検討すべき課題や問題点が残されてはいるが、方法の容易さや所要時間の短さなどの点で、教材として適した要素をもっていると考えられる。