中学校理科「生命を維持するはたらき」で,呼吸のしくみを学ぶ際に用いられるモデル装置「へーリングの模型」及びそれを模したペットボトル等での簡易な装置の学術的な問題点について,医学書等を参考にしながら実際の呼吸のしくみと乖離している現状を明確にした。そのことを踏まえ,これまでと同様に安価に,かつ簡易に作製できるモデル装置「LuNG model」を新しく開発し,このモデルを用いた実験,及び胸式呼吸・腹式呼吸のしくみを自分の体で実感する実験方法を提案した。その学習効果を,教師及び教師志望の大学生へアンケート調査を行って予想した。その結果,LuNG modelを使う場合には,より高い学習効果とともに,これまでのモデル装置に比べてヒトの呼吸のしくみをより正しく学べるとの評価であった。一方で LuNG model で学んだ後,自分の体を使って胸式呼吸と腹式呼吸を別々に学習する実験方法は,特に学生で「あまりできない・できない」との回答もあり,自分の体の各部を意識することの難しさに課題が残った。