2015 年 30 巻 6 号 p. 5-8
算数・数学教育では算数・数学の楽しさへの関心度は高いものの、楽しさの捉え方は様々で、曖昧である。中学生に数学を楽しんでもらうためには、数学を楽しむこととはどのようなことかを明らかにする必要がある。そこで、本研究では、数学を楽しむことについて明らかにするために、楽しむことの辞書的な意味を調べるとともに、McLeod,D.B.(1992)による数学教育研究における情意(Affect)に関する研究、特に算数・数学学習や算数・数学的問題解決における 3 つの心的要因の観点から考察したまた、楽しむ対象としての「数学」の意味を特定した。その結果、生徒は数学学習において、数学的内容の機能的側面でのよさに対して、プラスの情動を抱き、それを繰り返すことで数学に対する高い好意性をもつという安定した態度を形成する。数学を楽しむことは、こうして形成されたプラスの態度を持続している状態のことである。今後は、中学生が数学を楽しむために有効な数学的活動について検討していきたい。