市民が科学技術に関わる情報を批判的に検討し意思決定や判断に活かす力を高めてゆくことは重要な課題であるが,科学情報の読み解きにはしばしば高い専門性が必要となり,それが市民にとって障害となりうる。ここでは,神戸大学サイエンスショップによる,市民が気候変化に関する国際的専門機関 IPCC の報告書を精読する会への支援の取組について紹介する。この会においては,参加者である市民の主体性が重視されるとともに,参加者には大きな知的努力が求められ,その結果,強いモティベーションを持った人々が参加し,相互に学びあう場が形成されている。参加者の一部は,地域コミュニティにおいて環境問題としての気候変化や対策に関する啓発活動等に取組んでおり,この会での学びはそこで活かされている。