2015 年 30 巻 7 号 p. 25-28
科学技術の社会問題(SSI)をテーマに掲げる研究群は世界的に注目されている新しい研究動向の一つであり,国際的な学会や研究誌においてそのプレゼンスは高まっている.しかしながら,日本では SSI に関する研究がさほど行われていない現状にある.筆者らは,教育評価の観点からのアプローチとして,SSI の実証的な研究に着手している.本稿では,Sadler and Zeidler(2005)の追試をベースとした大学生対象の面接調査について,その研究フレームワークを概説する.面接において,対象者には,遺伝子工学の技術を応用した遺伝子治療およびヒトのクローンニングについて,具体的な状況が想定された 6 つのシナリオが提示される.面接における質問の内容は,インフォーマル推論を駆動させるための質問,アーギュメントを構成させるための質問,思考に影響する要因を内省させるための質問という 3 つに大きく分かれている.評価フレームワークについては,インフォーマル推論のパターン,アーギュメント,思考に影響する要因という 3 つの観点が設定されている.