2016 年 31 巻 2 号 p. 17-20
グローバル化や情報化に伴ってますます社会が複雑化し,複合的・分野横断的な問題が顕在化していくなか,そのような問題を扱うことのできる複雑系科学は学部・学科を問わず幅広い領域の学生とって重要な教養であると言える.そこで著者らは,Agent-Based Modeling(ABM)などの基盤的な手法を実践する中で複雑系科学の基本的な考え方を学ぶ教養教育向けの授業を企画・実践している.その際,ゲームデザインのプロセスを応用することで初学者や非専門家でもABMを実践することのできるGame-Based Situation Prototyping(GBSP)という手法を提案・導入している.本稿ではGBSPのコンセプトと,それを用いた複雑系科学入門授業の実践結果について紹介する.