抄録
筆者らは、教育的カリキュラム資料という理論的概念に依拠し、中学校理科の教科書に準拠して作成された教師用指導書を対象として、その教師に対する学習支援上の特徴を解明することに取り組んでいる。本稿においては、その試みの一環として、支援の内容、すなわち、どのような内容の専門的知識の学習が支援されうるのかに関する事例的な分析結果を報告する。数量的分析の結果、分析対象の事例となった教師用指導書においては、科学の内容に関する PCK、科学の方法に関する PCK、教師自身の教科の知識という 3 種類の専門的知識の領域のうち、科学の内容に関する PCK がもっとも重点的に支援されていることがわかった。また、事例分析の結果、7 種類の専門的知識について、その学習支援の内実が明らかになった。