2016 年 31 巻 5 号 p. 43-46
近年高等教育において,学生の主体的な学びを促すアクティプ・ラーニングの手法の一つとして「反転授業」が最近注目を集めている.本稿では,反転授業の目的や本学において実践した反転授業について分析した.その結果,授業の補助教材として用いることができるオープン教材(OER)としてインターネット上で有効に学生に提供できることが示された.しかし,そのためにはいくつかの課題も明らかになった.一つには自宅や学校でインターネット環境が整備され,かつ安価な情報端末が普及していることなど ICT 技術の高度な発達が前提として必要であること,また大学教育に反転授業を導入・普及させていくための留意点としては,大学教員が授業全体を設計する能力を身に付けておく必要性や動画教材に対する認識の転換の必要性,さらに動画教材そのものの資料化の必要性などが明らかになった.